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No.6

update.2017.03.01

大学所有の重要文化財がある!~清風荘(2)建物編~

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みなさん、こんにちは。ザッツ・京大編集部です。

さて、今回は重要文化財「清風荘」の建物編です。
庭園編もありますので、まだご覧になられてない方は探して読んでみてください。)

どうです?この堂々とした佇まい。
これが、清風荘の外観です。立派です。(大学の施設なんですが、想像できないかもしれませんね。)

詳しくご紹介していきますね。

清風荘の起源をたどると、享保17(1732)年頃徳大寺家の別邸として建築されたもので、その後住友家の所有となり、西園寺家がそれを使用していたものです。現存する家屋などは西園寺公望公の時代に改築増補したものですが、特に邸内の茶室と改築された庭園は名高く、茶室は貴人口(きにんぐち)と称して珍重され、また敷地面積の9割を占める庭園は、作庭家として高名な小川治兵衛氏(植治)の作庭で知られています。

現在の建物は、主に当時名工と謳われた大阪の大工・八木甚兵衛氏の手によるもので、明治43(1910)年に着工し、5年を費やして竣工しています。工期が長くかかったのは、建材の選択と乾燥によるものと考えられます。建物の造営には公自身が材料や形式について細かく指示されたというだけあって落ち着いた気品が漂っています。

四季折々の表情を魅せる自然美に溶け込みつつも、しなやかな存在感を醸し出す建物風情は、庭園に劣らぬ価値があります。
建物は主に、東、中、西の3棟よりなり、いずれも機能的な造りとなっています。敷地の西半に主屋(中棟・西棟)を中心として建物を配し、東に離れ(東棟)、北に土蔵と納屋、附属屋、南に茶室、西に正門を設けています。

主屋

主屋は各部屋を大小の中庭を介して接続し、中棟の2階座敷からは東山を望みます。いずれの建物も上質の数寄屋建築で、落ち着いた室内意匠となっています。
中棟:木造2階建てで、他の棟と比べ、各部屋の間取りは小さくなっています。
西棟:木造平屋建てで、天井板は、佐野笹目という有名な杉材で、九州の山王神社の老杉であるという説があります。この棟は主に会議室として使用されました。

この主屋で西園寺公望公は日常食事を取り、好んで吟醸を嗜んでいたという記録もあります。(西園寺公望をご存知ですか?知らない人は是非調べてみて!)
また、「淸風莊のこの部屋から眺めると、靜寂暗裡に燃え盛る火は鮮かに見られ、宛ら悠遠大古に居る様な感がする。また以て炎暑の夕に添へられた京洛の情趣でもある。」との記録もあり、当時は主屋(中棟2階)から、京の風物詩「五山の送り火」で有名な大文字山の大の文字が見えたそうです。
現在では、周辺環境や景観の変化から見ることができなくなってしまいましたが、離れからはその一部のみ見ることができます。

離れ

木造2階建で茶室間取り造りになっています。1階の廊下は4間継ぎ目無し(栂の木)、床柱は杉自然皺、床板は松の赤身一枚板、欄間は櫛型造りであり珍しいものです。

名工の手仕事と自然が織りなす美しい眺めは、ここを訪れた多くの人々に穏やかな心の静寂をもたらしてくれたことでしょう。

【取材を終えて】

どうでしたか?庭園編に引き続き、建物編。なかなか入る事ができない、この施設を取材しましたが、ホントに気持ちのいい施設でした。また行きたいなぁ。
京都大学には、まだまだ珍しい施設がたくさんあります(まだまだ、行ったことないところが多いけど…)キャンパス内の、大学所有施設に多数の重要文化財があり、ほとんどの学生がそのことを知らないかもしれない。だけど、そこには京大としての歴史が残っている。まさに、ザッツ京大と言えるでしょう!