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No.11

update.2017.03.06

スタッフだけでなく医療機器もスゴい!京大病院、の巻

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こんにちは、ザッツ・京大編集部です。
今回紹介するのは、京都大学医学部附属病院(以下:京大病院)でございます。
毎日さまざまな医療と向き合い、多くの患者さんに寄り添う病院への潜入取材、
厳粛な雰囲気を保ちつつ、わかりやすくご紹介したいと思います。

ハイッ! ということで今回クローズアップするのは、「ハイブリッド三部作」!!

「どこが厳粛な雰囲気やねん!」というツッコミ、ありがとうございます。
さて、何やらハリウッド映画的なこの名称、実は京大病院が誇る最先端医療システムの呼び名なんです。(取材時点)
医療技術は日進月歩。めまぐるしく進歩する医療の世界で、最前線を走る京大病院が「ハイブリッド三部作」と謳うのですから、とんでもない性能を備えているに違いありません。

ハイブリッド三部作を紹介する前に、京大病院について簡単にご紹介しましょう。
京大病院は、1899年(明治32年)に京都帝国大学医科大学附属医院として開設されました。高度先進医療を行う総合病院であり、特定機能病院として全職員が、患者さんの権利を守り、より安全な医療を目指しています。

京大病院は以下の理念を掲げ、病院関係者一同が日々医療と向き合っています。

【京大病院の基本理念】
1.患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する。
2.新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する。
3.専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する。

ハイブリッド三部作計画は2011年に心臓外科、耳鼻科、整形外科、脳外科が集まってスタート。その後、呼吸外科、循環器科が加わり、協力しながら計画を進めていきました。計画の方針は、「患者さんの治療のため」「病院の付加価値を生む新しい医療の研究開発であること」「人材育成につながること」。
3年にも及ぶ一大プロジェクトは、京大病院にとっても大きなチャレンジだったとのこと。それでは、医学研究科脳神経外科助授の荒川先生と、医学部附属病院手術部副部長の角山先生のナビのもと、ハイブリッド・トリオを紹介してまいりましょう。


右が荒川先生。“ザ・ドクター”というオーラが漂っていて貫禄があります。左が角山先生。このビッグプロジェクトの仕掛人です!

第1弾、次世代ハイブリッド手術室システム

2013年11月、最初にデビューを飾ったのは「次世代ハイブリッド手術室システム」。

ハイブリッド手術室とは、カテーテルを用いた血管内治療と外科手術を同時に行える手術室のこと。手術台と血管造影撮影装置を合体させたことで、外科手術で最小限に切開した後、体の負担が少ないカテーテル治療ができ、さらにカテーテルだけではできない疾患の外科手術も可能になったというW効果。

「あまり軽いノリだとそのうち怒られるな」と反省していたら、「この白いアーム、ガンダムみたいでしょ」と、荒川先生。先生もこういうノリ、お嫌いじゃない様子。
血管造影撮影装置によって血管や内蔵を3次元撮影し、瞬時に大型モニタに表示することで、それまで見えなかった部分が見えるようになり、より正確な手術の方針決定が可能になったそうです。

心臓のカテーテル手術をしているところ。意外に手術室は明るく、看護師さんの手術着がカラフルでかわいい。

第2弾、ハイブリッドMR手術室

続きまして2014年10月にデビューしたのが、「ハイブリッドMR手術室」。

MRI準備室を備えた前室、手術室、MRI検査室の3つがオールインワンになっているのが特徴。さらに、手術室とMRI検査室の間に通路を設けるなど、安全性・効率性も徹底的に考えられた設計になっているのだとか。

「荒川先生、こっちはガンダムというよりモビルアーマー的ですね」
「……」
えっ?! まさかのスルー。ガンダムで距離を縮めようと思ったのに…。

荒川先生の説明によると、ハイブリッドMR手術室の凄いところは、高磁場3ステラMRI装置が手術室に設置されていて、術前・術中・出後のMRI撮影をスピーディに行い、より正確な手術を行う支援ができること。
連動する最新のナビゲーションは、術中のMRI画像を3次元構成し、リアルタイムに標的臓器を立体的に把握することが可能。さらに、高磁場で可能となる脳機能画像(脳機能マッピング)・MRスペクトロスコピー(生体内分子解析)・トラクトグラフィ(神経線維画像)といった最新の撮像法を用いた手術を今後予定しているのだとか。
最後の方はむずかしくてよく分からなかったのですが、とにかく凄そうです。

従来の平均的な磁場は、0.4ステラ。3ステラを手術室に導入したのは日本初! ちなみにMRI装置の重さは7トン。通常は建物の構造上の問題で地下や1階に設置するのですが、京大病院は4階に設置するために建物の構造強化を行ったそうです。
「冗談抜きで、最初は「病院が傾く!」と言われました。大型クレーンで搬入する様は、まるで巨大なUFOキャッチャーだったそうです。

第3弾、移動型術中CT

トリをつとめるのは、2015年4月にデビューを果たした「移動型術中CT」。

「従来のCTと異なり、CT装置を患者さんの手術部位に移動させて撮影を行うため、あらゆる手術状況に応じた撮像が可能です。院内のPACS画像サーバー、 ナビゲーションと連動するシステムを持つことで撮影した画像を瞬時にナビゲーションに送信し、手術支援を行うことが可能です」と説明してくださる、荒川先生。

やっぱりイケメンだわ。

「国産というのがポイントで、このアーム型X線CT 診断装置 3D Accuitomo M(モリタ製作所)は、容易な移動と高画質CT撮像を目的に国内で初めて開発された装置なんです。
このように京大病院では最新の技術とチームプレーによって、より安全に高度な手術を患者さんに提供することを目指しています!」(荒川先生)

最後の方は見とれてしまってよく分からなかったのですが、荒川先生がおっしゃるのなら、きっと凄いのでしよう。

ビックリした、角山先生! どうされたんですか?!

「京大病院は、最先端でより安全な医療技術を患者さんに提供できるように取り組んでいます。また、患者さんのために頑張れる技量の高い医師の育成にも力を入れています。皆さんのご支援をよろしくお願いします!」(荒川先生)

承知しました! 角山先生をはじめとする京大病院すべての職員さんの熱い想いと取り組みを、全力で伝えます!!

番外編、京大病院を体感できるオープンホスピタル

最新の医療技術以外にも、京大病院の魅力はまだまだあります。それを一挙公開するのが、「京大病院オープンホスピタル」。
イベントの目的は、医療職を目指す学生や一般の方に、京大病院の魅力や院内各部門の活動を知ってもらうこと。毎回、多くの方が参加されます。(記事内容は2015年オープンホスピタル)

各部門の取り組みを分かりやすく紹介したパネル展示や、実際に使用している医療機器の展示などを、看護師や医師たちと会話しながら見て知ることができるほか、さまざまな体験ができるコーナーもあり、大人から子どもまで医療について楽しく学ぶことができます。
医療の進化の源にあるのは、何よりも「患者さんのために」という医療人の想い。京大病院はこれからもますますパワーアップしていきます!

[取材を終えて]

専門的な医療システムは私たちの日常生活と接点が少なく、ピンとこないかもしれませんが、こうした高い性能をもつ医療機器や、それを導入するために尽力されている関係者、そして医師をはじめとする医療従事者の方々によって、私たちの健康が支えられていることを今回の取材を通じて実感しました。
そして、ハイブリッド三部作計画に携わった方々の志とチャレンジ精神、そして実行力こそ、“ザッツ・京大”です!