ザッツ京大

圧倒的な“めんどくささ”から学ぶ、「いちいちめんどくさいサイト「探検!京都大学モバイル版」、の巻

こんにちは、ザッツ・京大編集部です。
いきなりですが、あなたにとって“京大らしさ、京大生らしさ”って何ですか?
歴史ある大学、自由な学風、個性的、ちょっと学業に自信あり、ちょっとファッションに自信なし……、確かにどれも京大や京大生の一面を表しています。しかしこれって、強いて言えば他の大学でも当てはまること。
もっと京大のオンリーワンをビシッと言い表すキーワードはないものか?
それがあるんです。分かりやすいシンプルな言葉で。
そう、それは「めんどくさい」。

山極総長は、こんなことを言っています。

「京都大学の学生や研究者は、常に他の人と違うことを発想しようとし、合理的なことやそれがいったい何のためになるかではなく、まず「おもろい」ことを考える。一見無謀だと思われることに自分で問を立てて、果敢にチャレンジする。分野を超えて異なる能力や知識や発想に出会い、対話を楽しみながら、自分が本当に向き合いたい問いと向き合う。決して一筋縄にはいかないし、時間がかかるかもしれない。一見すると、とても無意味に思えるようなことにこそ、新たな発見やひらめきに繋がるヒントがある」

いやぁ、発言もダンディ。ステキです!
つまりそれは「回り道の精神」。学業や研究は合理性だけを追求するのではなく、回り道をしながら多様な発想を思想に出会い、さまざまな経験をすることで人が気づかないことを見つけ、楽しみながら学びを深めることが大切ということでしょうか。
つまり、 かなり「め・ん・ど・く・さ・い」。
でも、その先にこそ新たなひらめきや発見があるかもしれない。そんな、すぐに答えがみつからないめんどくささを楽しいと思える体験を提供するために生まれたのが、『いちいちめんどくさいサイト 探検!京都大学モバイル版』!

http://www.mendoksa.pr.kyoto-u.ac.jp/

実はモバイル版に先立ち、京大の理念や取り組みを楽しく紹介する同名のPC版サイトが公開されています。

http://www.kyoto-u.ac.jp/explore/

こちらが2015年4月にオープンしたスペシャルサイト『探検!京都大学モバイル版』PC版サイト。個性や魅力に満ちた「京大らしさ」を打ち出すことで、新たなブランドイメージの発信とファン層の拡大が狙い。
モバイル版は「京大おもしろ化」をさらに深化させたのですが、どこでどう間違えたのか、めんどくさい要素が極端に濃縮されたゲーム型サイトが完成。しかし、その異形ぶりが“京大らしさ、京大生らしさ”を表出させる結果となったのです。
それでは、そのめんどくさい内容を、めんどくさくない程度に紹介しましょう。

「めんどくさい」その1〜考えられへん仕様


まず、『いちいちめんどくさいサイト 探検!京都大学モバイル版』(めんどくさいので以下、『探検!京都大学』に省略)はスゴロクになっていて、止まったマス目で出題される京大クイズをクリアしながらゴールを目指します。

ユーザーが思い通りに進むことができないというルールは、サイトのユーザビリティが問われる昨今、あり得ない仕様でしょう。しかも出題されるクイズは「そんなん知らんわ!」というマニアックなものばかり。これこそ京大ならではの知の探検!

さらに、めんどくさ度を飛躍的に高めているのが、次から次に発生するハプニング。普通のゲームならハッピー要素とバッド要素がバランス良く発生するのですが、『探検!京都大学』はほぼほぼ間違いなくバッド要素。はっきり言って、気持ちが萎えます。心が折れます。人によってはスマホを叩きつけたくなるかもしれません。

これは悪意ではありません。
学業・研究はいつも思い通りにはいかないもの、困難の先に成功があるというメッセージなのです。

「めんどくさい」その②〜イラッとくるキャラクター

京大生といえば、理屈っぽい、興味があることに対する熱量がハンパない、しかし興味のないことには無頓着(ファッションなど)、「ど」がつくほどのマイペースなど、ちょっと“こじらせた”人をイメージしがち。人はそんなツワモノ京大生を「イカ京(いかにも京大生)」と呼びます。
『探検!京都大学』にもそんなイカ京キャラが登場し、いちいちイラッとくる、めんどくさいコメントをします。

「めんどくさい」その③〜スクロール21万回でゴー・トゥ・ヘブン

めんどくささの極めつけが、「地上から地球の中心までの距離は、京大の時計台の何塔分になるか?」という問題で発生するトラップ。
答えは21万塔分ということなのですが、本当かどうかは検証してみないと分からない。そこで「1スクロール=時計台1塔分」として、21万回ひたすらスクロールをして地球の中心を目指そうという内容。

「そんなヒマがあるなら勉強した方がいいんじゃね?」と言うべからず。自分の体を使って「検証する」姿勢こそが京大の精神なのですから。

どうです? チャレンジしたくなったでしょう。興味のある人は今スグ、探検に出発してください!

番外編:めんどくささと共に生きた8ヵ月

『探検!京都大学』プロジェクトがスタートしたのは、2015年10月。それからサイトオープンまでの約8ヵ月、京都大学広報課の担当職員と制作会社のメンバーは、「めんどくさい」と言うのもめんどくさくなるくらいの、めんどくさい経験をすることに。その軌跡をちょこっと紹介。

まずは、リアルな京大生らしさを抽出するため、現役京大生の協力のもとヒアリングを実施。ヒアリングは京大愛あふれる京大生の皆さんのおかげで、「京大生あるある」が出るわ、出るわ。「多くの爆笑ネタをゲットしたものの、諸々の事情ですべてを採用できなかったのが残念」と制作メンバー。

向かって右サイドのハツラツとした方が京大生。この時点では制作会社のみなさんも穏やかな表情。やがて訪れる地獄を彼らはまだ知らない……。

そして、じわじわと訪れるめんどくさい地獄…。例えばキャラクター設定。「京大でキャラクターといえば、やっぱりイカ京は外すわけにはいかない!」という広報課のめんどくさいこだわりにより、ゲーム全体を象徴するメインキャラを創り上げることに。

「イカ京、いや、神レベルのイカ京を作ってください」(広報課)
「えっ? 言ってる意味が分からないのですが……」(制作会社のみなさん)
「ですから、ながい年月の中で構築されたコアな京大生のイメージをパーフェクトに具現化した、香ばしい香りがするキャラです」(広報課)
「ますます分かりません。一般人が分かるように説明してください」(制作会社のみなさん)

このような異文化交流によって生み出された「神イカ京」がコチラ。

2017年現在このような京大生が生息しているのかは定かではありませんが、実在している可能性は十分にあります。
その他のキャラクターも細部までこだわり、より実物に近いキャラに仕立て上げました。そのこだわりは制作会社さんも引くほど。

広報課の校正戻しの一部。だいぶめんどくさいオーラが出ていますね(他人事)。
さらに隠れキャラとして、京大名物「総長カレー」の生みの親である尾池和夫元総長をモデルにした「なまず先生」や、 世界で唯一のパズル学博士であり、「京大・東田式」としてパズル本を何冊も発行している東田大志くんをモデルにした「ビラがパズルの人」も登場します。
こうしたキャラ化の許可も、広報課職員によるいきなりの直談判。いろんな人に、めんどくさいことをまき散らしています。

しかしながら真に大変なのは、一通り出来上がったサイトが問題なく使えるかを確かめる検証作業。

先ほど紹介した穴堀りトラップも、実際に21万回スクロール。その時間、何と20時間オーバー!!! 上の写真で制作メンバーが笑っているのは楽しいからではなく、1日中スクロールをして壊れてしまったからか…?!

さらに検証地獄はつづきます。
シナリオ通りに進行するかを確かめるため、すべてのクイズやハプニングを発生させ、記録しなければなりません。

こんな感じですべての画面をキャプチャしていくのですが、めんどくさい条件を設定しているため、ちょっとやそっとじゃ再現できない。制作メンバーだけではどうにもならないということで、急遽「キャプチャレディ」を配備。
このようないくつもの難関を突破して、ついにオールOK!!
その時、制作メンバーはこんな感じになってました。

机に突っ伏す者……、虚空を仰ぐ者……、グロッキー状態になりここに現われることすらできない者……・。いやはや、本当にお疲れさまでした!

制作会社へのインタビュー!

「探検!京都大学」モバイル版の制作、どうでしたか?
いや-、とにかく「めんどくさかった」です(笑)。思った以上に・・・。
サイトの方向性が決まり、制作を進めていく中で、「本当に京大がこんな突き抜けたサイトにして大丈夫なんだろうか・・・?」「総長は本当にOKするのか・・・?」等、作りながらいつもドキドキしていました(笑)。「さすがにここまでしたらダメだろうなあ」と思いながら提案しても、思った以上に京大さんがOKだったのが意外で、「え?これもアリなの?」と・・・。

でも一緒に制作を進めていくうちに、京大さんの中で、「めんどくさい」というコンセプトで表現したい「京大らしさ」や「京大の理念」に一本筋がしっかり通っていることがわかったので、安心しながら進めることができました。

正直に言いますと・・・京大については、もっと斜に構えたというか、固いイメージがあったのですが、それが全然違って。私たちも制作に携わりながら、必然的にどんどん京大知識を深めていったわけですが、知れば知るほど、京大おもろすぎるっ!と思いましたね。ゲームにはそのほんの一部しか盛り込めきれませんでした。

このサイトで一番難しかったところは?

ゲームの仕様を複雑にしすぎずに、「シンプルだけどめんどくさくする」、そのさじ加減が難しかったですね。いろいろ悩んだ結果、めんどくささを表現するために、クイズやハプニングなどの演出をめいっぱい盛り込むことにしました。それらのネタは、もともと京大さんが蓄積していたメルマガのコラムや、「探検!京都大学」PC版といったコンテンツがあったからこそ実現できたものです。

学生ヒアリングも大きかったですね。リアルな京大生たちの魅力に触れて、より「京大らしさ」を感じられた気がしました。

今回制作をお願いした、株式会社P&Mの焼野源二さん(上)、Sugar-cogの中川雅晶さん、竹内美里さん(下)。みなさん、ありがとうございました!

[取材を終えて]

「めんどくさいことが大切である」という考えを、身を以て示した『いちいちめんどくさいサイト 探検!京都大学モバイル版』プロジェクト。
一見、無駄で非合理的なことに情熱を注ぎ楽しむ姿勢こそ、“ザッツ・京大”なのです。

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