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No.46

update.2018.04.02

ザッツ京大さんぽvol.1 歴史マスターと巡る、京大の魅力満喫こってりツアー

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京大LOVEな二人が、
広報課の片隅で……

某日。ザッツ取材班が広報課を訪れると、打ち合わせスペースで何やらブツブツ話し込んでいる二人を発見。遠目に見ても、ただならぬ熱を発しているのが分かります。

一人は「趣味は京大」と言い切る広報課職員、もう一人は大学文書館の西山伸教授。西山先生は、京大百年史編纂をはじめ、京大の歴史に関する授業や、職員向け研修の講義、歴史展示室の企画など、京大史の語り部として多方面で活躍されている、いわば京大の歴史マスター。これは京大についてのディープな話をしているに違いない・・・。

ねちっこく問い詰めたところ、
「これから先生とお散歩に行くんですけど、一緒にきます?」と広報B。
1分1秒が勝負の分かれ目となる現代社会において、のん気にお散歩ですと〜〜ッ!!
「ええ。日頃あまりピックアップされることが少ない京大の魅力を紹介したいと思い、西山先生にご協力いただくことになったんです」(広報B)。

「きっと、いろいろな発見がありますよ!」と二人とも異様に楽しげな様子。

京大LOVEな広報Bと京大の歴史マスター西山先生の最強タッグでめぐる魅力満喫ツアーとは!? 密着取材で突きとめます!

こってりツアーは京大の歴史の宝庫からスタート!

京大さんぽは、西山先生の活動拠点である京都大学大学文書館からスタート。
そもそも論なのですが・・・

「文書館」って図書館や博物館とは違うのでしょうか?

「違います。大学文書館とは、京都大学の歴史に関する資料を整理・保存・公開するための施設。大学の過去と現在を伝える重要な役割を担っているのです」
と、ちょっと前のめり気味に解説してくださる西山先生。
なるほど、早速勉強になりました。


資料が所せましと保管されている大学文書館

大学文書館については以前にザッツ・京大で取り上げているので、そちらをご覧ください。
https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/03/07/568/

カバンから資料を取り出し、真剣な表情で見つめる西山先生と広報B。まるで、これから5000m級の冬山にアタックするような雰囲気です。


気合いが入る西山先生と広報B

二人は大学文書館から鴨川沿いの川端通りに出て南下。しばらく歩くと見えてきたのが、稲盛財団記念館。アジア・アフリカ地域研究研究科、東南アジア地域研究所、こころの未来研究センター等が入っている建物です。


和気あいあいと歩く広報Bと西山先生
某まちブラ番組を彷彿とさせるさわやかな光景


鴨川沿いに佇み、ガラス張りの外観が印象的です

さて、通りに面した近代的な建物に入り、そのまま奥に進み中庭に出ると・・・現れたのが、レトロなレンガ造りが特徴的な東南アジア地域研究研究所図書室。一気に雰囲気が変わります。東南アジア地域研究研究所図書室は1965年の開設以来、東南アジアに関する専門書をメインに約24万点の資料を所蔵し、国内外の研究者の活動を支えています。


伝統的なものと現代的なものが同居する、
これこそまさにザッツ京都!

この建物、竣工はなんと1889年!かつては京都織物会社の社屋だったそうです。補強され、今も研究所図書室の施設として活躍しています。古いものを壊すのではなく、手を加えながら活用する姿勢が、京大に脈々と受け継がれていることを実感。


窓ごしで少し見えづらいですが
当時の刻印が保護され今も残されています。

「素敵ですね、西山先生」
「うん、本当に素敵だね」

……何ですか、この会話? 仕事というよりデートじゃないですか!

「そうかもしれません。私たちは京大に恋してるんですもの」

と、キャラにも似合わぬ乙女的発言な広報B。
どう返事をしたら良いのか分からず立ち尽くす取材班。二人の京大さんぽは、まだはじまったばかりです。


仲良く資料を見る二人

楽しいムードが一転、怪しい雰囲気に……

ノスタルジックな気分に浸りながら二人は南東にある附属病院構内へ移動。歴史話で盛り上がっていたら、いつの間にかまわりの景色が今までとガラリと変わり、うら寂しい雰囲気に……。しかも唐突に謎のトンネルが!


さっきまで明るい日射しがあったのに……


うら寂しい雰囲気になり、謎の地下トンネルが出現!

安心してください。
ここはかつて患者さんを搬送するために使われていた通路で、病院エリアと病院西構内をつなぐトンネルなんです。トンネルの上には、一般の道路が走っていて、病院と研究施設を往復するのに、交通の妨げにならないよう作られたものなんです。


一見普通、でも独特の空気感が漂うトンネル

そして、このトンネルを通って、次に訪れたのは、病院エリア。
病院エリアにももちろんいろいろな最新設備や立派な建物があり、普段では職員ですら入れないところもあり、、、さてどこに注目ポイントが、、


病院エリアに向かいながら話が弾むお二人。
自然と取材班も期待が高まります。

で、二人に紹介されたのは、、、この植木です。。


一見ただの植木にみえますが、、、、
二人が注目していたのは、この植木の中でも、、、

ちょっと目を凝らしたら見えてくるこれ。
このひそやかな記念碑に注目してたんです。
「えっ、あの、なぜ、、、」
困惑する取材班を尻目に、この記念碑を見て、お二人は話がはずんでいるようす。

実は、京大の中には、このような、記念碑、記念樹が沢山存在しているそうなんです。
そう、それはもう、誰も把握できないくらいに、、、で、「ここにもあったね~!」と二人は話がはずんでいたようで。。。

「みんな勝手に作っちゃうから、もうねぇ、いくつあるのか、
誰のものなのか、何の記念かわからないんですよぉ(笑)」
「まぁ!でも、それも、京大の魅力ですね!」
と会話が弾むお二人でしたが、
記念碑ってそんなに簡単にキャンパス内に作っていいのなかぁなんて思う
我々取材班はまだまだ修行が足りないのかもしれません。

京大はどこもかしこも濃ゆ〜い歴史・魅力の宝庫

二人はここから北に上がって、昭和モダンな旧産婦人科病舍(現在は第三臨床研究棟)へ。附属病院で最も古い建物で、外観だけでなく中もいい感じ。もちろん現在も使用されています。


丸みのある角が趣のある旧産婦人科病舍


丸窓など情緒あふれる内部

歴史ロマンに胸をときめかせ、今度は基礎医学記念堂を見学。ここは1902年に京都帝国大学の解剖学教室講堂として竣工された
医学部系統解剖講義室で、京都大学歴史的建造物に指定されている貴重な建物とのこと。老朽化により長い間使われないままだったのですが、
大改修の末、2014年に「基礎医学記念講堂・医学部資料館」として生まれ変わりました。

その大改修の苦労話や、秘話など。
https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/06/27/2531/
こちらで詳しく紹介しています。気になる方はぜひ!


基礎医学記念堂。外観はほぼ当時のまま


階段教室。すごいステキ!

つづいて一行は医学部キャンパスの東隣りにある、楽友会館を訪問。1925年に京都大学創立25周年を記念して建てられたこの建物は、現在、会議室やレストランを備えた会館として、本学の教職員の学術交流の場として親しまれています。サラッと自慢しますが、楽友会館は登録有形文化財に指定されています。

このレストランの洋食はほんとに美味しいんです!
会館の歴史と食レポはこちらで紹介しています!

前編:https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/03/01/80/
後編:https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/03/01/106/


どこを切り取っても絵になる……
ステキ過ぎます!


京大の達人である二人も、すっかりご機嫌

「先生、次はどこに行きましょうか」
「それじゃ、ほとんど紹介されることのないスポットに案内しようか!」

まるで隠れ家的な飲食店に行く時のような会話をする二人。念のために言っておきますが、お二人は仕事で京大を散歩しています。


資料を広げて
次に訪れる場所を相談する二人


とっておきのスポットに案内してくださるとのこと
楽しみ♪(どんどん某まちブラ番組のアノ人に見えてきました・・・)

京大キャンパスは今も謎だらけの秘境だった

そして、次に訪れたのが、南キャンパスのグラウンド側にあるコチラ。


絵ヂカラハンパないです

廃墟ではありませんよ。れっきとした部室です。今も学生が部室として使っています。
旧制第三高等学校時代は武器庫として利用されていたそうです。第二次世界大戦では2000人以上の在学生が徴兵され、戦死された方も少なくなかったといいます。二度と繰り返してはならない歴史です。

この廃墟・・・、あっいや、この部室の一室には、あの有名な作家さんも所属していた、推理小説研究会があるんです。部室もミステリー感溢れてますよね。

さて、二人が雰囲気の良い吉田南キャンパスを散策していると現われたのが、吉田南総合館。この建物の屋上には「自由の鐘」と呼ばれる鐘があります。旧制第三高等学校の本館の鐘楼に吊るされていたもので、2004年に吉田南総合館が新築された際に復活。正午になると荘厳な音色を響かせています。

ここで西山先生が、また面白いものを紹介してくれました。
先程も話が出ていましたが、京大の中には、記念樹、記念碑の他にも、スタンプラリーができるくらい、石碑も山ほどあるんです。

そのあまたある石碑の中でも、誰にも注目されず、ひっそり佇んでいるのがこちらの石碑。


饅頭のような形をしている
ミステリアスな石碑

西山先生の解説によると、昭和15年に国を挙げて行われていた「紀元二千六百年記念行事」の名残とのこと。存在自体ほとんど知られておらず、なぜここにあるのかも謎だそうです。

チェックシャツ&メガネ率高めの北部キャンパスへ

ここで大きく舵を切り、北部キャンパスへ。このエリアは一部の京大生の定番ファッションアイテムとなっているチェックシャツとメガネを身につけている学生の確率がグンと上昇します(あくまでも噂ではありますが、、)。

道すがら出会ったお地蔵さん。昔はこの前の道を通って滋賀まで山を超えて行っていたようです。

それにしても広大なキャンパスです。自転車で移動する学生が行き交います。

調子が出てきたのでドンドン先へ進みます。有形文化財である農学部正門をくぐり、理学部の植物園(関係者以外は立入り禁止)を横目にしながら、湯川記念館へ。
ちなみに、この何気に素通りしがちなこの正門。ただの寂れた門ではないんですよ!
実は文化財なんです!


地味ながら実は文化財である農学部正門

もう一つ、ちなみになんですが、、、
正門を入ってすぐ右手にあるのが「理学研究科附属植物園」

なんだか不気味、あっ、いや、
歴史を感じる看板

残念ながら、一般の方は入れないのですが、この植物園の他にも、
薬用植物園や農場が大学のキャンパス内にあるんです。なんだか不思議です。

以前に薬用植物園には突撃取材をしております。
https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/03/02/593/

ぜひ、次回はこの「理学研究科附属植物園」に決死の覚悟で
潜入してみたいと思っています!
(念のため、探検部に一緒に来てもらおうかな、、)
植物園内部も登場する「広報B、探検部との決死のアドベンチャー」はこちら。
https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/03/01/203/

で、湯川記念館へ。
湯川記念館は、湯川秀樹博士が日本人として初めてノーベル物理学賞を受賞した記念に建てられた研究施設です。
「記念館の目的は、中間子論など基礎物理学の研究活動及びその成果に関する歴史的史料、図書、文献などを収集・整理・保存し、学内外の研究者の活動を支援することです」
と、まったく噛まずに説明してくださる西山先生。要所要所で、ただ者ではない存在感を発揮されます。


こちらが湯川記念館
さすが威厳のある佇まい


湯川記念館の展示物について
マニアックな話をする二人

つづいて記念館の北にある、これまた有形文化財の旧演習林事務室を見ながら、アメフト部をはじめいろいろなクラブが練習をするグラウンドへ。グラウンドの東側に流れている疏水沿いは、春にはたくさんの桜が咲き乱れる名所として知られています。


人の琴線に触れる旧演習林事務室の外観
庭も美しいんです!


旧演習林事務室の内部です。
まるで、リゾート地のコテージのよう。
でも、勝手に入ると怒られますからね!

北部キャンパスには、人工芝で整備されたグラウンドがあります。
この北部グラウンドも、歴史深く、その歴史についても、西山先生に熱く説明いただきました。

現在、このグラウンドは体育会クラブが中心に利用しており、あの泣く子も黙ると噂のアメフト部も毎日しのぎを削っています。

アメフト部については以前に取材を敢行しておりますので、
興味のある方はこちらを御覧ください。
前篇:https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/08/17/2685/
後編:https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2017/08/17/2752/

いよいよ京大さんぽも大詰め、吉田本部キャンパスへ。
レンガ造りが美しく、貴重な建築様式としても知られる旧土木工学教室本館を訪問。もちろんここも研究棟として現役です。


威風堂々の旧土木工学教室本館

隣には、建築学教室本館があるのですが、残念ながら今は工事中で見学できず。
こちらも、土木教室に負けず劣らず歴史深い建物なんです。

つづいて法経済学部本館に移動。

この立派な校舎は一見シンメトリーに見えますが、東西で建てられた年が異なり、形もよく見ると微妙に違っています。ちなみに東側(向かって右側)が後に建てられたそうです。それぞれ、いつ建てられたのか?! その謎を解くヒントが校舎裏に隠されているので、訪れた方はぜひチェックしてください。


この数字に設立の秘密が!
ヒントはあの饅頭みたいな石碑?!


西山先生の手引により
禁断の謎を解いてしまった広報B

テンションが上がる一方の二人は、取材陣がヘロヘロに疲れきっているのもおかまいなし。さらに小ぶりながらも存在感がハンパない有形文化財の尊攘堂や、京大で一番古い校舎の旧石油化学教室をまわる盛り上がりぶり。お二人ともこれまで何度も見ているはずですよね・・・。誰か、この二人をとめてください!


幕末の貴重な資料が所蔵されていた尊攘堂


京大の建物界で大御所にあたる旧石油化学教室。
別名「ノーベル賞の館」

この旧石油化学教室の裏に、ちょっとしたティーパーティが出来そうな雰囲気のいい空間と平屋の建物があるのですが、、、実はこの建物、京大キャンパス内に現存する建物の中でも最古の建物なんだそうです。作られたのは、なんと、1889年!明治22年!風格漂っております!建物が残っているだけでも、すごい!と思うのですが、現役で普通に講義にまだ使われているのもすごいです。


西山先生曰く、国立大学で教育研究に利用されている建物としては、
一番古い建物かもしれないそうです。


最古の建物を前に、先生の説明も
俄然熱が入ります!

いた、それにしても、いろいろと興味深い話もあり、知らなかったことだらけで、
ほんと、いい機会だったとは思うのですが、、もう、足が上がりません。。
そんな取材班を尻目にこの二人、、


この盛り上がりようはもはや仕事の域を超えている

シメはやっぱり京大のシンボル、時計台

ということで、最後はシンボルの時計台でさんぽは終了!


堂々とした佇まい やはり、時計台は京大のシンボルですね!

京都大学の敷地は、吉田エリア(医学部キャンパスと南部、西部、本部、北部キャンパス)だけでも、70万㎡以上。朝から始まったこの散歩、時計台に到着した頃にはもう日も落ちてきていました。。(最近運動不足だった同行スタッフは、こっそり3回程足がつってました)
もうヘロヘロ。。「お疲れさまでした、それでは、ここで、、」とそそくさと締めようとする取材陣の声を無視して、お二人は、時計台の中にある歴史展示室に突入。展示してある昔のキャンパスの模型を見ながら、ここでも楽しげに復習。
実は、この模型も西山先生がつくられたのだとか。説明にも熱が入るはずです。

ちなみに、広報Bは、西山先生直々に京大の歴史を6年前から学んでいるそうです。さすが、趣味京大。恐るべし・・・。

もう、マニアックな話すぎて、きりがないのでレポートはここで切り上げますが、
二人の京大談義はこの後も延々とつづいておりました。。。


精巧につくられた模型は掃除が大変なのだとか


ストップをかけないといつまでも続く京大談義

[取材を終えて]

いやー、まさにザッツ京大! 
冒頭で西山先生と広報Bが話していたように、京大にはあまり知られていない魅力がたくさんあることが分かりました。しかもその多くが、のんびり散歩をしながら出会えるのが素晴らしい。普段あくせく時間に追われている人こそ、ちょっと歩く速度をゆるめると、これまで見過ごしていた素敵なものに出会えるのではないでしょうか。

広報課では、さらに京大の見どころをぎゅっと詰め込んだ「京大散策マップ」も発行しています。散策マップを片手に、あなたならではのぶらり京大さんぽをしてみてはいかがでしょうか?

散策マップはコチラからダウンロードできます!
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/downlodemap/pictorial_map.html