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No.27

update.2018.04.09

科学の不思議を探検する マジカル・ミステリー・ツアー

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こんにちは。ザッツ・京大編集部です。
2018年になって随分経ちますが、去年の秋に開催された「京大ウィークス」がとても充実していたので、ザッツ・京大で紹介しないのは「もったいな過ぎる!」ということで、引き続きレポートしたいと思います。

[京大ウィークスってなに?]
京大ウィークスは、北は北海道から南は九州まで、全国各地に展開している数多くの教育研究施設を地域の皆様に開放し、日々の研究等を紹介する皆さんの知的好奇心を刺激するイベントです!
詳しくはこちら(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/social/weeks/2017.html

 

スケールが大きく、楽しい公開ラボが目白押し

今回紹介するのは「宇治キャンパス公開〜科学大好き! ふしぎな世界を探検だ!」。数ある京大の拠点施設の中で宇治キャンパスは最も大きい規模を誇り、毎回3000人を超える方々がキャンパス公開に参加されているんです。今回も2017年10月28日(土)・29日(日)の2日間に渡り行われ、多くの方が足を運んでくださいました。


さすが最大の規模を誇る拠点施設
おもてなしも本格的

当日は台風の影響で“しとしと”と雨が降る、あいにくのお天気。しかし、『源氏物語』の舞台となったことを思うと風情を感じます。
キャンパスを訪れてはじめに感じるのは、「デカい!」ということ。ここには4つの研究所をはじめ、サテライト部局や大学院の一部などがあり、世界をリードするさまざまな研究が行われているのです。
今回行われた公開ラボの数は約40!まさに研究者を体験するテーマパークです。
これをすべてまわることができるのは、かなりの強者のみ。取材班も参加者の熱量に負けないよう、できる限りたくさんレポートしたいと思います!

最初に紹介するのは、境界層風洞実験室で行われた「風を感じる」という企画。風洞施設に入ってもらい、10m/sの風を体験するという内容です。


まずは10m/sの風を分かりやすく説明

「百聞は一見に如かず」ということで、さっそく風洞施設へご案内。


宇治キャンパスが誇る風洞施設

 


「よっしゃ来いッ!」
気合いを入れてお手本を見せるスタッフ

 


人工的に発生させた強風に顔を背ける子どもたち

 


手前の少年は早くも風と一体化?!

キャンパス公開はスタンプラリー形式になっていて、子どもたちは実験に加え、スタンプをコンプリートすることにも熱くなっていました。取材班も、ひとつでも多くのラボを取材しようと、脳内スタンプラリーを展開。


子どもはスタンプラリーが大好き

次に紹介するのは、強震応答実験棟で行われた「居住空間の災害を観る」実験。振動する大きな台の上に部屋をつくり、実際に揺らして大地震が発生した時にどのようになるのかを再現します。地震大国といわれる日本。参加者の顔も真剣です。


テレビCMで見るような大掛かりな装置

 


解説をする川瀬 博教授。ダンディ過ぎます

 


ワイングラスをゆらすようにマイクを持つ川瀬先生

 


どっしりとした家具も
大きな地震が起こると倒れてしまいます

 

実際に家具を置いて揺らすと、どっしりしていた家具がドタンバタンと揺れだし、倒れてしまいました。改めて大きな家具を固定する必要性を実感しました。
さらに地震について知ってもらうため、連携研究棟では地震保険や耐震改修などの理解を深める「防災ゲーム」を、地震予知研究センター研究棟では小麦粉とココアで断層模型を作る体験コーナーが実施されていました。


クイズなどを通じて防災を学ぶ

 


いい具合のココア断層の出来上がり♪

 


「そういう考え方もあるね」
地震のメカニズムについて議論する二人

 

毎日の暮らしに関連した企画に子どもたちも興味津々

災害に関するラボが続いたので気分転換をしましょう。
ということで向かったのは、新食品素材製造実験室。ここでは光学顕微鏡と電子顕微鏡を使って、食べ物の構造を見ることができるんです。これには子どもたちもボルテージ上昇! 用意された食材を顕微鏡にのせて覗き込み、「なにこれ〜?!」、「すごい〜!!」、「このキュウイ、食べていいの?(実験とは関係ないけど。。。)」と歓声をあげていました。


パプリカの構造を見る少年

 


種の辺りをアップにすると、こんな感じ

 


顕微鏡を見る姿が様になっています

 


「間違いなくブロッコリーだな」とルーペで覗き込む

野菜を見ていたらかなりお腹が空いてきたのですが、「ザッツ・京大の読者に京大ウィークスと宇治キャンパスの魅力を伝える」という使命感が、取材班のカラダを突き動かします。

つづいて紹介するのは、材鑑調査室で開催された「木の博物館」。日本人と深いつながりのある木材について、見て・触れて・感じることで学びます。


木材に関するバラエティに富んだ展示

 


木のブロックで木目をチェック

また木に関する企画はこの他に、ナノファクトリーで「セルロースナノファイバー」という樹木を支える繊維に触る企画が行われました。


よく分からないけど触ることで
感覚的にセルロースナノファイバーをインプット

 

まだまだある!メガ盛りなキャンパス公開

後半に差しかかってきたのでピッチを上げます。
訪れたのは宇治おうばくプラザで行われていた「化学時計を作ろう!」という企画
物質を混合し、しばらくすると突然色が変わったり周期的に色が変化したりする時計反応は、化学反応の中でも特殊な反応であり、その不思議な世界を体験してみようという内容です。


図の下にはむずかしそうな化学式(?)が…
これは実験して自分の目で確かめないと!

 


お手本を見せるスタッフ
試験管を見る視線がクール

 


続いて参加者が実験

同じく宇治おうばくプラザでは、強力磁石などを使って磁石が日常生活でどのように役立っているのかを学ぶ「じしゃくであそぼう!」が実施されていました。


磁力で宙に浮く物体に大興奮♪

 


こちらはハードディスクに録音する実験

いよいよ閉会時間も迫り、荒行を行う山伏のように会場を駆け巡る取材班。
息を切らせながら辿り着いたのは、本館で行われていた「来て・みて・感じて 水資源」。淀川を上がってくるアユの映像を上映する他、ダム模型の見学、水道水と天然水の飲み比べなどを通じて、水資源への理解を深めるのが目的です。


アユ、ドーン!!
下に敷いてある布もアユ柄というこだわり

 


模型を使ってダムの効果をシミュレーション

最後に、レーザー科学棟での「高強度レーザーが作る虹色の世界」。1兆ワットという想像を絶するパワーが出る高強度レーザー装置を紹介します。


いざ、厳重に管理されている実験室へ

 


内部は複雑な装置が鎮座する ザッツ・科学研究室!

 


真剣に実験をする家族
※新手のマジシャンユニットではありません

ここでタイムアップ。まだまだ興味深い公開ラボがたくさんあったのですが、残念ながらすべてを紹介するのは無理でした。でも、キャンパス公開が充実していることと、参加してくれた子どもたちが好奇心をもって楽しみながら体験してくれた様子は伝わったのではないでしょうか。
来年もレポートしたいと思っていますが、やはり実際に体験する方が楽しく分かりやすいので、次回はぜひ参加してください!

 

取材を終えて

最も印象に残っているのは、子どもたちの表情です。未知の世界を目の当たりにして浮かべる不安そうな顔、実験をしている時の目の輝き、実験の結果に大喜びする顔など、イキイキとした表情を見せてくれました。この体験が科学や学習に興味を持つ出発点になれば素晴しいですね。