No.10

update.2017.03.01

日本初の学生探検部「京都大学探検部」と共に、決死のアドベンチャー、の巻

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こんにちは、ザッツ・京大編集部です。
今回紹介するのは、日本ではじめて誕生した学生探検部、「京都大学探検部」です。
頭だけでなく足もフルに使う学びを大切にしている京大。そんな姿勢から「探検大学」という異名をもつ本学において、探検部はまさに“京大らしさ”を体現する部活といえるでしょう。
2016年に創設60周年を迎えた探検部の発足当時の目的は次の通り。

「この部は、全世界(国内も含めて)の広い意味での未開地帯の(学術的)探検を計画し、実行またはそのために必要な技術や知識を身につけようとするもののグループ(組織)である」

SNS時代にはちょっと堅い印象を受けますが、高い志をもってつくられたことが伺えます。現役メンバーによると、時代の移り変わりで多少目的は変わっているものの、「広い意味での未領域の(学術的)探検」というスピリッツは変わっていないとのこと。その意気や良し! とくと探検部の神髄を見せていただきましょう。

◎京都大学探検部ショートストーリー

その前に、少しだけ探検部の歴史をおさらいしておきましょう。
探検部の歴史がこと細かに綴られている「ルーム日誌」によると、探検部の原点は京都帝国大学の旅行部だと記されています。今の感覚からすると旅行といえば、温泉につかったり、ご当地グルメを堪能したりする姿を想像してしまいますが、実際は探検や遠征登山など本格的な活動をしていました。
しかし、第二次世界大戦の影響で部は活動休止状態に。その後、1947年に登山をメインとする「山岳部」が誕生。活動を開始すると、次第に山岳志向と探検志向のグループに別れていき、1956年に晴れて京都大学探検部が誕生したのです。

「ルーム日誌」に残されている、部発足時のメンバーの写真。写真を貼って記録するというマメな行為と、「探検部誕生す」と書かれた字のラフさのアンビバレンス具合が京大生らしい。

◎部室訪問のつもりが、予期せぬ展開に!

ということで、探検部の部室を訪問。当然のことながら登山道具やキャンプ用具、資料などが所狭しと置かれています。すでにここがジャングル。
取材前、メンバーに対して硬派なイメージを抱いたのですが、実際はフランクな雰囲気。というか、先輩・後輩に関係なくタメ口。
「探検部の伝統で、先輩・後輩の上下関係がないんです。過酷な探検現場では、先輩に遠慮することが命に関わることもあるので」(メンバー)
ちなみに部長のことは「プレジデント」と呼ぶそうです。広報Bも編集部員からプレジデントと呼ばれたい!

どうです、探検っぽいでしょう。部員は、探検の基本であるローブを使ったクライミング、沢登り、カヌーなどのトレーニングに日々励んでいるとのこと。そして、こうした練習を重ねてスキルを磨き、下の写真のような海外活動も行うのです。

左はスリランカの島を自転車で1周するチャレンジ。1日100kmのペースで、2週間かけて完走。
右はモロッコとサハラ地域を訪ね、メンバーが関心のある分野の知見を深めるツアー。この旅がきっかけとなり、現在、砂漠ラクダ旅行を計画しているそうです。

「いやぁ、いろいろ面白い話を聞くことができました。今日はありがとうございました!」

(広報B)
「いやいや、これで終わりっていうのはないでしょう。今回の取材ためにとっておきの探検プランを練ってあるんですから」(メンバー)
「マジですか? 確かに機会があれば参加したいとは言いましたが、それはオトナの社交辞令というもので、社会に出れば本音とタテマ……」
「何をモゴモゴ言ってるんですか。今から行きますよ」

一体どんな秘境に連れて行かれるのか? 不安で体をこわばらせていると、プレジデントから「大学構内で植物採取をして、納豆づくりにトライする」というプランが発表される。
納豆づくり……。すっかり巨大ワニや大蛇と闘うシーンを思い描いていたため肩すかしを食らいながらも、こうしたことも探検と捉えるメンバーの柔軟な発想に感銘を受ける。

今回の納豆探検を企画してくれたプレジデントによると、アジアにおける納豆文化の講演を聞いたことがきっかけで興味をもったのだとか。納豆は日本だけでなくタイ、ラオス、ミャンマーなどアジアで広く食されていて、作り方も基本は同じだという。今回のテーマは、ワラの代わりにそこら辺に生えている植物を使って納豆ができるのか? だんだん私の好奇心もくすぐられてきました!

早速、納豆づくりに使えそうな植物をゲットする旅に出発。といってもルックスは普段と変わらない服装で、手にはプラスチックかご。完全に今晩の鍋の買い出しです。


探索エリアは構内北部。う~ん、近い。
とてもこんなところに納豆をつくることができる植物が生えているとは思えない。
ところが意外や意外、さまざまな植物が生息しているではありませんか。

で、これらの植物をどうするのかなと思っていたら…さすが探検部。見込みのある植物を見つけると、ニオイを嗅ぐ → いけそうだったらかじる → さらにいけそうであればゲット、という流れ。事情を知らない人からすれば完全に怪しい行動ですが気にせずつづけ、かなりの種類を入手することができました。

部室に戻り、ゲットした植物の種類を図鑑で確認し、種類別に袋分けます。今回採取したのは、ヒメシダ、カジノキ、イヌビワ、クスノキ、ビワ、バショウ、タイミンチク(竹の葉)、イチョウ、クズ、ミカン科、イヌワラビの全11種類。

いよいよ納豆づくりを開始。まずは採取した植物を種類別に煮沸。次に大豆を圧力鍋で茹で、それぞれの植物が入っている袋に入れて軽くもみ、バショウの葉で包む。そして、そのまま醗酵させます。


めでたく手づくり納豆が完成し、試食会を開催。試食という名の毒味…このスリル感はまさしく探検!!
おそるおそるニオイを嗅いでみると、中にはクラッとするものや、幼い頃の思い出が走馬灯のように甦ってくるあぶないものもある。これを食べるのは危険と判断し、試食は中止。

残念ながら目標は達成できませんでしたが、日常生活ではお目にかかることのない貴重な体験ができました。ちなみに探検部は今回の雪辱を晴らすため、納豆探検第2弾を計画中。飽くなきチャレンジ精神に脱帽です。今度は社交辞令ではなく、ぜひ私も参加させてください!

[取材を終えて]

今回、探検部の皆さんとプチ探検を体験して感じたのは、好奇心と探究心が旺盛であること。既成概念にとらわれることなく自由な発想でアイデアを出し、真面目に、そして楽しみながら取り組む姿勢。まさに京大の精神に直結しています。探検を通じてこうしたマインドをさらに育み、社会に出てから活かしてほしい! これから京大生になる皆さんも後につづけ!!