Institute

No.44

update.2018.01.24

「知の道場」へようこそ~エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラム~

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みなさんの考える理想の「リーダー」って、どんな人?

周りを引っ張っていける人、信頼される人、行動力のある人、マネジメントスキルの高い人・・・などなど、理想のリーダー像は人によって違うと思います。

でも、先の見えない複雑な社会で、これからリーダーたちに必要なのは

「本質」を見極めるチカラ。

さまざまな問題に対する答えを見つけ、新しい価値を創り出していくために、京都の地でほんまもんの学問や文化に触れながら、知性を磨いていく・・・そんな「鍛錬」とも呼ぶべきユニークなリーダー育成プログラムが、ここ京大で行われています!

京都大学ELPs(エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラム)

何やら名前からして格式高そう・・・「エグゼクティブ(executive)」とは、企業などの管理職、幹部のこと。運営や管理に携わる、トップのエライ人たちですね!

既に組織でリーダーである人、これからリーダーになる人、リーダーを目指す人たちを対象に、「次世代に向けた本質理解と世界観構築」--つまりブレない軸を修得してもらうことが、プログラムの目的。

社会人大学院やリーダー育成プログラムは世にたくさんありますが、ここではスキルではなく、精神を磨きます!
「何十年生きてきた大人が、今さら精神を磨く?本当に変われるの?」と思われるかもしれませんが、心配ご無用!根本から徹底的に人間性を鍛え直します!!(笑)

一体どんなプログラムなのか気になってしょうがないですね。1年間のプログラムですが、前期のみ、後期のみの受講も可能で、毎週土曜日に講義があります(各期15名募集)。在籍中は京大の図書館や総合博物館も利用でき、修了すると修了証がもらえます!

2017年度後期のプログラムの最終日にお邪魔してきましたので、一緒に見ていきましょう!
(気になりすぎて居ても立ってもいられなくなった人は、今すぐコチラをチェック!
https://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/elp/

いざ、知の道場へ足を踏み入れん。

「たのも~う」と言いたくなる面構えの「橘会館」が舞台。
100年以上前に建てられ、かなりボロボロだったのが3年前にリノベーションされました。


プログラムは毎週土曜日。最終日は特別スケジュールですが、普段は講義4コマ(10:00~17:20)→1日の講義を受講生同士で振り返るリフレクションタイム(17:20〜18:00)→自由参加の課外プログラムや勉強会など。朝から晩までみっちりのスケジュールですね!

和のあたたかみもありながら、モダンな要素が取り入れられ洗練された雰囲気。外からは見えませんが、庭もあります。

休憩用のカフェスペース。本棚には講義で使う教科書や、講師が寄贈した本が!

・・・ん?カーペットをめくると、床下に何かありそうな跡が・・・


「それは防空壕だってウワサがあります。」

え~っ!でもこの建物100年以上前からありますからね・・・そうかもしれません。この声は、本日の案内人さんですか!?

本日の案内人

左から、プログラムを担当する総合生存学館(思修館)の山口栄一 教授と、
ELPs事務局の延田エリカさん、藤原千香子さん、粟野亮二ディレクター!
藤原さんが館内を案内してくれました。

ここは通称「ワイガヤルーム」。ホワイトボードになっている「Y-gaya! Wall」は企業や大学でたくさん導入されています。壁にアイデアを書き込みながら、活発なディスカッションができるところがウリ!

2階に上がると・・・ここは料亭ですかな?

「ここでお昼を食べたり、瞑想したこともありますよ!」(by藤原さん)

ほう・・・瞑想もプログラムの一環なんですね!他にも、池坊専好さんによるいけばなの講義や、酒蔵見学(※酵素の勉強です)、京料理を味わうプログラムなど、京都の地で本物の伝統文化に触れられる機会を用意しています。

務本之学、京(みやこ)八思

「務本之学」=「本(もと)を務むの学」。枝葉末節ではなく、本質を理解する学問

「八思」は、基盤となる8つの学問で、人文・哲学、経済・経営、法律・政治、異文化理解、理工、医薬生命、情報・環境、芸術を指します。

講義では、こういった根本の学問の知識、分野を超えた広い視野を身につけ、対話と議論を通して精神を磨いていきます!

記念すべき最終日の講義は・・・

「古代文明は何故滅んだのか?」をテーマに、総合生存学館の泉拓良 特定教授が講師を務めます!

事前課題として、「古代文明は何故滅んだのか?」に対する答えをそれぞれ考えてきました。京大教員の著書を読んできた勉強熱心な方も!人口増加?食糧問題?などいろいろ出てきましたが、大きく「自然」「文化」の面に分けられそうです。

ちなみに、こうやって受講生の意見をまとめたり、講義の進行役を務めるのが「モデレーター」。希望したELPs修了生の中から選ばれます。修了後も、受講生とは違う角度でELPsに関わることができるのも、魅力の一つ!

新旧の文明を比較しながら、古代文明の成立から滅亡までの歴史を追っていくと、昔の人々が生きること、死ぬことをどのように考えていたかが垣間見えます。古代文明滅亡の理由は、人類の成長過程に内包されているということが分かりました!

「ししゅんき(思春期)-ししゅうかん(思修館)」とかけたダジャレ(?)で笑いを誘いながらも、私たち人間のルーツに迫る先生の講義に、みなさん真剣に聴き入っていました。

「昔のことを学んで、何の役に立つの?」という意見があるかもしれませんが、現在の中にある過去、歴史に気づくことって、私たちが生きる意味を考え、これからの問題を解決するためにも、とても大事なんじゃないかなと思います。

かなり濃密な内容だったので、頭を使ってお腹がすいたところ。
京都らしいお弁当をいただきながら、しばし団らん。これも講師や他の受講生と交流できる貴重な時間です。

リフレッシュしたところで、午後のプログラム!

午後は、これまで学んだことを振り返るリフレクションタイム。学際融合教育研究推進センターの宮野公樹 准教授の問いかけを受けて、まずは一人一人静かに講義を振り返り、あらためて思ったこと、感じたことをメモしていきます。

「1年、または半年かけた時間とお金はこの1時間のためにあると言ってもいい!
それくらい自分自身に問いかける時間というのは意味があります」(by宮野先生)

その後は、グループで集まってディスカッション!自分をさらけ出すことって、恥ずかしかったりしんどかったりします。特に、エグゼクティブのみなさんにとってはそうかも。
「日常に戻ればすぐに忘れてしまいます。あなたを評価、査定する人はここにはいません。今この場で、このメンバーで、このプログラムを受けたからこそ語れるような対話をしてみましょう!」(by宮野先生)

好きな場所でディスカッション。ダイニングをのぞいてみるとかなり盛り上がっていました。

忙しい日常で自分を見つめ直す機会はなかなかないもの。考え問いかけ続けたこの時間は、きっとみなさんを一歩成長させてくれたと思います!
ちなみに宮野先生は、こんな面白い企画をやっています(^o^)

▼全分野結集型シンポジウム
http://www.cpier.kyoto-u.ac.jp/2017/12/theword/
79分野から研究者が集結!壮大なる夢の意見交換会です。

▼異分野交流会
http://www.cpier.kyoto-u.ac.jp/2017/08/ibunya/
毎月開催!一気に世界が広がること間違いなし。どなたでも参加できます!

お疲れさまでした!涙の修了式

後期13回、長い人は前期・後期と1年間、プログラムを受講したみなさんに修了証の授与が!

「各分野で活躍している同期と出会えたことが、かけがえのない宝物。離れてしまうのが本当に寂しいですが、これから社会に戻ってここでの経験を活かしたいと思います!」(by修了生代表)

最後はみんなで集合写真。いや~ホントに素敵な笑顔!これからの社会を作り、未来を輝かせてくれる新たなリーダーが誕生することを、期待しています!

ELPs事務局よりひと言

山口先生:「僕は物理学を学んでいくうち、社会はどうなっている?ということに興味を持ちました。そして企業を経営し、あらためて学問、世界を眺めてみると、とても面白いことに気づいたんです。これをみんなに体験してほしい!この世界がどうなっているのか、あらゆる角度から学べるのがELPsです!」

粟野ディレクター:「1年で48名の講師が教えることになりますが、毎年2割の講師が入れ替わっています。また一度修了しても、モデレーターとして戻ってくることができます!常に新しいことを学び続けられるのが良いところ。講師の世界観、考え方、哲学を感じてみてください!」

藤原さん:「私も講義を聴いているうちに、違う講師、違う分野の話でもどこかでつながっていることに気づきました。その関連が面白くて、興味がどんどん広がっていきます!慌ただしい日常を脱出して、京都で本物の学問に没頭してみませんか?」

延田さん:「入学された直後は緊張なさっている受講生の方々が、徐々に慣れてくるにつれ対話も深まっていくのが感じられます。このELPsで普段とは異なる友情も生まれるようでとてもうれしく思っております。」

 

 

★☆★広報Hのおまけレポ★☆★

・泉先生の講義で衝撃的だった内容・・・昔の人は、死者の首を家に飾っていたそうなんですが、それは土地所有が始まった時代に、いつからその土地に住んでいるか証明するためだったとか!

・ナルホドと思った宮野先生の裏話・・・人に指示するときって、人格が表れるもの。部下は上司に自分の良い一面だけ見せることができるが、上司はそうはいかない。リーダーの人間力を高め、企業や組織に還元してもらうことが目的!

・最終日ということで、過去の修了生が見学に来ていました。リフレクションタイムの間、修了生は別室で特別講義!「私たちはさまざまなリスクにどう立ち向かうのか?-行動経済学の発展から学ぶ」というテーマで、こちらもかなり面白かったです。講師の西村周三先生がニコニコすぎてつられて笑ってしまう広報Hでした。

・修了式で1人の受講生が修了証を授与されているところをムービー撮影する他の受講生たち・・・別れるのがホントに名残惜しい様子でした。今後も交流が続くと良いですね!

・最後は豪華修了パーティー@ホテルオークラで締めくくりました♪

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京大ならではの全く新しいプログラム、いかがでしたか??

2018年度前期受講生の募集が既にスタートしています!現在管理職でない方でも、幅広い年齢の方が参加しています。さすがエグゼクティブ、お値段は張りますが(笑)それ以上の価値がある体験が待っていると思います!

また、2018年2月23日(金)の13:00~16:00、橘会館を一般公開してオープンデイというイベントを開催!特別講義や、実際の講義ビデオ上映もあります。
どなたでも参加できますので、ELPsの雰囲気を体感しに来てみませんか?


詳しくはこちらから♪(https://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/elp/2018/01/19/openday0223/

今から本気で学び成長したい人、数十年後の未来を見据えたビジョンを持っている人はぜひ「知の道場」へお越しくださいませ(^o^)/

▼募集要項はコチラ
https://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/elp/2017/11/10/admission_2018_1st/

▼京都大学ELPs HP
https://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/elp/
受講生のインタビューもなんと全員分、掲載されていますよ~!