No.83

update.2019.04.01

ザッツ京大さんぽvol.2前編

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すべての道は京大に通ず・・・?
地図マスターの京大生が誘(いざな)う
時空をかけめぐる京大さんぽ

 

こんにちは。「ザッツ・京大」編集部です。

あの興奮が再び。
京大歴史マスターの西山伸教授をナビゲーターに迎えて吉田キャンパスを散策した、「ザッツ京大さんぽvol.1」から約1年。全国各地、いや世界中からの熱烈な希望にお応えして、第2弾を実施することに!

昨年リニューアルした散策マップ。これを利用して、もっと皆さんに京大さんぽを楽しんでもらえないものか・・・。ザッツ初代編集長の広報Bは、日々そんな悩みを抱えながら日課(ほとんど趣味)のおもしろ京大生パトロール(=ネタ探し)に勤しんでいたところ・・・、

「なんでもない地図を語る会」を企画している地図マスターの京大生を発見!

こ、これはもう、おもしろいにおいがぷんぷんするんですけど!!!

 

「なんでもない地図を語る会」とは、地図に地名が記されていない場所に地図情報だけを頼りに訪れたり、地図を見て想像をふくらませてその土地の特徴を探ったりしている集まりらしい。

こんな逸材を逃すわけにはいかない。

というわけで、広報Bはすぐさま「なんでもない地図を語る会」を企画した京大生に熱い想いを綴ったメールを送りつけ、強引に面談にこぎつけたのでした。

※※※※※※※※※※※※重永さんプロフィール※※※※※※※※※※※※※※※

ここで、「なんでもない地図を語る会」主催者のプロフィールを紹介。

重永 瞬さん(文学部地理学専修4回生)
地理学研究会 第7代会長。地理学研究会の活動の延長として、「なんでもない地図を語る会」を主催。その他にも、地理関連のイベント開催やオリジナル地図の作成、まち歩きガイドなど、さまざまな活動を展開。さらには、史上最年少で京都検定に合格するという偉業も!

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さてさて、早速打合せに。

広報B 「地図マスターの重永さんからすると、京都大学散策マップって、どんな活用法がありますか?」
重永さん 「そうですねぇ、キャンパス内はもちろんなんですが、大学がある吉田エリアは歴史的に興味深い場所なんです。京都の都市計画からこぼれ落ちた場所というか、滋賀につづく道の痕跡が残っていたり、遺跡が発掘されたり。こうした京大周辺の歴史的背景と照らし合わせてマップを使うと、より楽しめると思います。「すべての道はローマに通ず」というように、京大に至るまでの道も京大と深くつながっているので、大学周辺の散策も十分に魅力的な散策コースになるかと!
それから、キャンパス内の遺跡といえば、ぼくの友人に考古学研究会のメンバーがいるので、彼らに構内の遺跡めぐりツアーをしてもらうとか!

いきなり頼もしい提案をしてくれる重永さん。
鴨がネギを背負ってきたので、すぐさま地図&遺跡マスターズ3人と広報Bで企画会議開始。

重永さんが召喚してくれたのは、考古学研究会の田中さん(通称「瓦屋」)と二村さん(通称「古墳屋」)。話しだすと次から次へと出てくる、京大やその周辺にまつわる歴史ネタの数々。まさに散策マップ界の玉手箱!話は盛り上がり、3人は快く協力してくれることに。どんな京大さんぽになるのか、期待がふくらみます!

はやくも前のめりで話し込む4人

 

<まずは前編>スタートは出町柳駅。って、ぜんぜん京大と違いますやん!

広報B 「ところでマスター重永、待ち合わせはどこにしましょうか?」
重永さん 「じゃあ叡電の出町柳駅で。」

広報B  「えっと・・・、ちょっと京大から離れている気もしますが」
重永さん 「そうなんですよ、出町柳は興味深い場所なんです」

 

イマイチ会話は噛み合っていないものの、マスター重永のおすすめということで、出町柳駅集合に決定。

 

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京大周辺といっても、出町柳駅から京大まではそこそこの距離。京大さんぽのコンセプトから離れてしまう不安を感じないわけではありませんが、地図マスターも考えがあってのこと。
とにかく重永さんを信じるしかありません。

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さて、京大さんぽの当日。天気は、さんぽにうってつけの快晴。

重永さん 「おはようございます。晴れて良かったです」

天気以上に爽やかな重永さんの笑顔

 

ワクワク感が顔に出まくっている広報B

 

広報B  「マスター、今日はよろしくお願いします!ここから京大に向かう学生や教職員は多いけど、よく考えるとこの辺りのことってあまり知らないかも」
重永さん 「そうでしょう。みんな大学に直行するので、見過ごしていることが多いんです。それで、今日のために資料をつくってきました」
広報B 「ありがとうございます! 情報量が多くて私だけでは読み解くことはできなさそうなので、ご教示お願いします。どこまでもマスターについていきます!」

 

本格的なオリジナル資料を広げる重永さん

 

重永さん 「わかりました!それでは引かずにしっかりとついてきてくださいね(笑)。今日はとりあえず、サクッとまわる2時間コースです。」
広報B 「えっ、2時間!? 恐縮ですがマスター、ここから大学までが2時間ということでしょうか? 確か新幹線で京都〜新横浜間が約2時間だったような気がしますが・・・」
重永さん  「ええ。ここから大学までが2時間ということです。じゃ、出発しましょう

広報Bの戸惑いを軽やかにスルーして、歩きはじめる重永さん。
「鴨川デルタ」と呼ばれ、観光名所にもなっている出町柳から京大までは、歩いてせいぜい20〜30分。一体、どんなルートで、何をすれば2時間もかかるのか。
謎に包まれた京大さんぽ、スタートです。

 

実は知らなかった京大周辺エリア

重永さん  「ちょっとここで止まってください」
広報B     「いきなりですか。でも、何もないように思いますが・・・」
重永さん  「見た目は確かにそうですね。そこで、先ほどの資料を見てください」

 

言われるままに、慌てて資料を広げる広報B。職員と学生というより、師匠と弟子といった雰囲気です。

 

重永さん 「これは、この辺りの昔の地図なんですが、今、僕たちがいるのはここ。何かに気づきませんか?」
広報B       「あっ、全然まちじゃない!」
重永さん 「よく気づきましたね。そうです、この辺は昔、田んぼと畑だったんです。そんなところに京大ができて、周辺も開発されていったんです。今回は、そういうまちの歩みを紹介したいと考えています」
広報B       「なるほど、出町柳をスタート地点にする理由があったんですね。さすがマスター」

重永さんの“つかみ”に心をわし掴みにされる広報B

 

重永さん 「もうひとつ付け加えると、この辺りはY字路がたくさんあるんです」
広報B       「Y字路・・・」
重永さん 「はい、Y字路。好きなんですよぉ、Y字路が。ロマンですよねぇ。まぁ、それは後ほどお話しするとして、先へ進みましょう」

Y字路がロマン・・・。言っていることの意味がよくわかないのですが、広報Bは暗示にかかったようにマスターの後を追いかけます。

重永さん 「はい、ここです。ストップしてください」
広報B       「えっ、ここですか。焼鳥屋さんなんですが・・・」
重永さん 「ここはとても重要なポイントなんですが、何か感じませんか?」
広報B      「すみません、私には何がなにやら、、」

 

一見どこにでもある風景 あなたはここの重要さが分かりますか?

 

重永さん 「昔の地図を見ると、ここは「愛宕郡」(おたぎぐん)と記されていますよね。現在の左京区は愛宕郡と呼ばれる地域でした。そして、今僕たちが立っているところに役所がありました。つまり、ここが左京区の中心だったんです」

 

そら、この写真を見るだけでは分かるわけありません

 

広報B      「そうだったんですね! それが今では焼鳥屋さん」
重永さん 「時代の移り変わりです。かつてここに役所があったなんて、ロマンを感じずにはいられませんよね!!」
広報B      「え、えぇ、感じますとも。。」
重永さん 「でしょう。ここに役所があったことを覚えておいてくださいね。後でもう一度、話に出てきますので。それでは先を急ぎましょう」

 

まるで何かのプレゼンを見ているような重永さんのナビゲートに、ただただ身を任せる広報B。予想はしていましたが、重永さんは想像以上の強者ぶりを発揮しはじめました。

 

重永さん 「Bさん、さっき、この辺りは田んぼと畑だったと話しましたね。その名残がここにあるんですよ」
広報B 「どこでしょうか?」

何も知らない人が見たら、かなり謎な二人

 

100円玉が落ちていた!?的な感じに見えます

重永さん 「これです、これ」

素人には朽ち果てたブロックにしか見えません

 

広報B      「精進が足りないせいか、私にはボロいブロックに見えてしまうのですが」
重永さん 「いえいえ、よく見てください。溝があるでしょう。昔は向かい側にも同じものがあって、そこに板を挟み込んで水をせき止めていたんです」
広報B       「ということは、ここは川だったんですか」
重永さん 「はい。吉田キャンパス周辺は、京都市が土地区画を整理するより先に街が広がってしまったんです。だから、この辺って通りが碁盤の目になっていないですよね」
広報B       「確かに。それで細い道がたくさんあるんですね」
重永さん 「その通り。なかなか的確な見立てです。では、次のポイントへ向かいましょう」
広報B      「ありがとうございます! これからは師匠と呼ばせていただきます」

重永さん 「開けた場所に出てきました。ここが次のポイントです」

何の変哲もない景色に見えますが・・・

 

広報B       「道の真ん中に三角州のようなところがあります」
重永さん 「お見事。ここは、新道開通時に旧道との間で余ってしまった土地なんです。それでは、反対側を見てください 」
広報B       「あっ、清風荘 やっと京都大学散策マップに載っているところに出ましたよ」

 

徳大寺家の別邸として1732年に建てられた清風荘(の裏側) 現在は重要文化財

 

重永さん 「清風荘の裏です。ここの庭に池があるのはご存知だと思います。昔、池の水はこの辺りに流れていた川から引いていたんです。今もどこからか引いているはずなんですが、それに関しては深堀りせず、次に行きましょう」

実物は見えていない清風荘を話題にしてはしゃぐ師弟 かなりの少数派だと思われます

 

本当に楽しそうにナビをしてくれる重永さんの影響を受けたのか、最初は戸惑い気味だった広報Bのテンションも右肩上がり。自分でも何か発見しようと、まわりをキョロキョロしはじめる。

重永さん 「Bさん、ストップです。これを見てください」

水たまりの下にうっすら記号のようなものが・・・

 

広報B       「何ですか、これは?」
重永さん 「昨日の雨で水たまりになってるから、ちょっと分かりにくいかな・・・。あっ、こっちにもありますね」

だんだんロールプレイングゲームをしている感覚に

 

重永さん 「これは現在のJTの前身、専売公社のマークです」
広報B       「どうしてこんなところにあるんですか?」
重永さん 「昔タバコ屋は地図に載っていて、その目印ではないかと考えられます」
広報B       「昔はこんな工夫をして分かりやすくしていたんですね」
重永さん 「こうして細かいところに注意してさんぽすると楽しいでしょ」
広報B      「世界が違って見えます。2時間かかるのも納得です」

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ちなみにここまでで約20分経過。二人の移動距離は数百メートル。
重永さんが言っていた2時間コースが、大げさではなくガチであることが判明。

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歴史ミステリーはいよいよハイライト!

二人はやっとこさ、本部構内(メインキャンパス)北側にあたる今出川通りに。

広報B      「ここを東に進むと、京大生にとって愛着のある百万遍の交差点ですね」
重永さん 「この広い通りができたのは1930年頃で、それまでは今歩いてきた細い道が今出川通りだったんです。現在の今出川通りなんですが、ここから見ると、ちょっと曲がっているように見えますよね」
広報B      「確かに」
重永さん 「それは、先ほど前を通った清風荘を避けるために、南側に曲げたからだといわれています。西園寺公望が愛した楓の木を伐採するのを躊躇したことが理由の一つだそうです。」

 

不動産業者ではありません さんぽをしているのです

 

広報B      「へぇーそんなエピソードが!で、ここから東に向かって歩くのですね」
重永さん 「いやいや、そんな勿体ないことはしません。これから南に向かいます。
広報B      「でも、南はただの住宅地のような・・・」
重永さん 「そこがミソなんです。とりあえず行きましょう」

 

迷宮のように曲がりくねった道を進む師匠と弟子

 

二人が歩いているのは、ごく普通の住宅地。にもかかわらず、重永さんはご機嫌。理由を尋ねると、「細く入り組んだ道が好き」とのこと。こうした“萌え”にこだわるのも、今回のさんぽの大きなポイントといえるでしょう。
・・・と、その時、重永さんの眼光がギラリと光る。

 

重永さん 「この壁に貼りつけてある地図を見てください」

広報B      「よくある町内の地図ですね」
重永さん 「この辺りはさっき堰があった川跡の続きなのですが…ほら、よく見てください」
広報B      「はい、見ています。見ていますが、どこを、どう見ればいいのでしょう・・・」
重永さん 「町名です。ほら、「砂川町」って書いてあるでしょ。この辺りが川だった名残です。正式な地名ではないんですが、地元の人にはこの地名が定着しているんです。いやぁ、おもしろい!」
広報B       「何か歴史ミステリーを解いている気がしてきました」
重永さん 「いい傾向です、Bさん。では次行きましょう。今度はもっとテンション上がりますよ!」

 

見た目はストレンジャー 気持ちはトレジャーハンター

 

次のお宝を目指してGO!

 

重永さん 「おぉぉぉ、Bさん! 見てください!
広報B      「あっ、はい。何を見ればいいんですか?!」
重永さん 「何をって、向きですよ。この向き!」
広報B      「はい! で、師匠、何を!
重永さん 「Y字路に決まってるでしょ! いやぁ、それにしても美しいY字路だなぁ。こんなY字路、なかなかお目にかかれませんよ。この辺りでいちばん好きなY字路です」
広報B       「そう言われると、確かに超Y
重永さん 「そうです。見事にYです。パーフェクトYです。お地蔵さんもあるし最高です」
広報B      「序盤に言っていたY字路って、このことだったんですね。ちなみにこのY字路は師匠的に何位くらいですか?」
重永さん 「2位です」
広報B       「1位はどんな感じなんですか?」
重永さん 「ここ以上にYです。まさにY文字通りYなんです」
広報B      「何か、猛烈に見てみたいです」

超Y・・・、Y字路ランキング2位・・・、
もはや、取材班は二人の会話についていけません。

 

あなたにもこのY字路の魅力が伝わるでしょうか

 

重永さん 「しかもこのY字路は美しいだけじゃなく、地理的にも重要なんです。京大のメインキャンパスがあるのは吉田ですよね。実は、ここは昔存在していた吉田村の入口なんです。ちなみに今歩いてきたのは田中村」
広報B      「そんな名前がついていたことを知ると、親しみが湧いてきます」
重永さん 「ここで古い地図を見てほしいのですが、よく見ると染物工場がところどころ載っているでしょう。さっき、この辺りは川が流れていたと話しましたが、これらの染物工場はその川の水を利用していたんです」
広報B       「むっ! 染物といえば織物。この近くで織物といえば・・・」
重永さん 「察しが早い。京大の東アジア地域研究研究所図書館は、かつて京都織物会社の本館でした」
広報B       「京大には歴史ある建物が多くあるから、地域の歴史と密接につながっているんですね。時空を超えているようでワクワクしてきました」
重永さん 「さんぽの醍醐味を味わってもらえて嬉しいです」

 

レンガ造りが渋い東アジア地域研究研究所図書館 元は京都織物会社

 

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完成度の高い重永さんのナビによってテンションが上がっていた広報Bですが、周辺地域の歴史と京大がリンクしていることを知り、さらにヒートアップ。二人の間には、師弟の以心伝心のようなものが生まれつつあります。
随分時間はかかっていますが、大学のキャンパスには近づいています。
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ウキウキが止まらない広報Bは、自らまちの不思議に切り込んでいくように。そんな様子を重永さんは、まるで弟子が独り立ちしたように温かい眼差しで見守る。もはや師弟愛といって差し支えないでしょう。
しばらくすると、小さな交差点で広報Bの足が止まる。

広報B 「あれ?マスター、ここ、角が削られていますね」

 

そう言われると角が鋭角に削られている

 

重永さん 「ちょっとちょっとBさん、いいところに気がつきましたね。センスありますよ。これは「隅切り」といって、通行のために曲がりやすくしたり、見通しの確保を目的としています。『隅切り』は1919年の「街路構造令」以降、それぞれ基準の異なる複数の法律で定められてきました。ということは、隅切りのされ方を見ればその道路ができたおおよその年代が推測できるんです。いやぁ、素晴らしい発見です」
広報B      「ありがとうございます! お褒めいただいて嬉しいです今後は隅切りを意識して生きるようにします!

今、私たちは、人が、かなり特定の物事にハマる(沼に嵌っていく)瞬間をお届けしています。

 

時の経つのを忘れて道端で話し込む師弟コンビ

 

やっと京大の正門近くの東一条通りまできました。これで一気に京大正門へと思ったら、またまた歴史うんちくがはじまる。

 

広報B      「ここは、道が広くてまっすぐですね」
重永さん 「おぅ、またいいところに気づきましたね。野球で例えるなら、タイムリーヒットを連続で打ったようなものです。東一条通は、都市計画によって新しくつくられた道で、路面電車を通す予定だったんです」
広報B      「でも、結果的にはここまで通さなかったわけですよね」
重永さん 「ええ、その理由は、実は京大にあるんです。以前、この辺りに京大の物理学教室があって、電車が通ると電流の関係で実験装置に影響が出るということで、路面電車の計画は頓挫しました。でも、正式には2010年まで進行中扱いだったそうです。計画は実現しませんでしたが、そのおかけで広々とした道になったので良しとしましょう」

東一条通りを東にしばらく進むと、大学院総合生存学館(思修館)が見えてきました。

広報B       「思修館は京大のなかでは新しい建物です」

 

新しいけれど貫禄ある出で立ちの思修館

 

重永さん 「Bさん、見て欲しいのは、その前にある初代左京区役所跡の碑です

 

しかし、見て欲しいのはこっち!

 

重永さん的には、こういう比率で見えています

 

重永さん 「序盤に愛宕郡の話をしたことは覚えていると思います」
広報B      「焼鳥屋さんのところですよね」
重永さん 「はい。その愛宕郡の役所を引き継ぐかたちで、ここに左京区の役所が建てられたんです。モダニズムな建物だったのですが、残念ながら取り壊されて北部の松ヶ崎に移転しました」
広報B      「愛宕郡から左京区に変わり、中心地もこっちに移ったんですね」
重永さん 「昔はこの辺りに美術工藝学校や絵画専門学校など、京都画壇を担う芸術家を輩出した学校がありました」
広報B      「今更ですが、師匠の知識は底なしですね。本当に尊敬してしまいます」

広報B       「文書館が見えてきました。前回の京大さんぽは、文書館を管理されている西山先生にナビをお願いしたんです」

 

文書館の役割について、したり顔で説明する広報B 知見を発揮するのは、後にも先にもここだけ

 

重永さん 「西山先生が監修をされた「京都大学百年史」は僕の愛読書なので、じっくりとお話してみたいです。おっと、時間が迫ってきたので先を急ぎましょう」

 

急ぐと言いながら興味を引くものを見つけると歩みを止める重永さん
この好奇心と探求心が大切
(ちなみに左は、石に刻まれた謎の文字、右は鋭角が最高らしい・・・)

 

しばらく歩き、二人は医学部のキャンパスに。昔この辺りは、京都高等工藝学校、京都帝国大学、第三高等学校、医科大学などがある、文教地区だったとのこと。

 

整然としたまちなみは文教地区だった面影?

 

重永さん 「もうすぐ正門ですが、もうひとつ見てもらいたいものがあるんです」
広報B      「何でしょうか、道の端にあるものが気になるような・・・」
重永さん 「そう、コレです!」

 

またまた渋い碑が登場!

 

二人の石碑を見る眼差しがやさしい

 

広報B      「これ、気になってたんです!」
重永さん 「これは、志賀越道の道標です。さっき通ってきた医学部キャンパス北側の細い道は、滋賀まで続く道だったんです」
広報B       「このゾワッとくる感覚がロマンなんですね。ところでこの石碑、鉄枠でガードしてありますが」
重永さん 「史跡だからです。石柱としては、京都に数個しか登録されていない史跡のひとつなんです。これをつくった人は沢村道範という江戸時代の人物で、京都のあちこちに石碑をつくっているんですよ。」

 

至福の表情で解説する重永さん

 

広報B     「鬼のような知識ですね。本気で弟子入りを申し出たい気持ちになってきました」

 

ついにゴール!! でも本当は前半が終わったばかり・・・

完全に達成感に浸っている二人

 

ついに正門に到着! マラソンで完走したような達成感が湧いてきますが、実際は前半が終わったところです。

 

広報B      「2時間なんてあっという間でした。まだまだいけます! 師匠のおかげで楽しく、充実したさんぽになりました!」
重永さん 「僕も楽しかったです。Bさんはさんぽのセンスがあるので、新しい同志に出会えた感じがします」
広報B      「師匠にそう言っていただけて光栄です」
重永さん 「ここまでのさんぽの復習をすると、昔は農村地帯だった吉田村に京大(京都帝国大学)ができて、その結果、京都市の中心よりも先に大学周辺は独自の開発が進んでいった。そのために路面電車は通せなくなりましたが、他にはない、自由で、ある意味無秩序なまちなみができあがったといったところでしょうか」
広報B       「自由で無秩序というのは、京大の「自由の学風」に共通していますね」
重永さん 「確かに! きれいな碁盤の目のなかでは、京大の学風は育たなかったかもしれませんね。さすがBさん、鋭い視点です」
広報B       「何しろ趣味が京大ですから!

 

会話はとめどもなく続いているのですが、キリがないので、前編はここで終了。

 

これから、いよいよキャンパス内のさんぽ〈後編〉のスタートです。
後編は重永さんに勝るとも劣らない考古学マスターズが合流。期待は高まるばかり!
ただ、考古学マスターズに指定された待ち合わせ場所は・・・、校舎と校舎の間にある大型室外機前!!

 

なぜ、あえてこの場所!!

 

一体ここに何があるのか?
取材班が首をひねっていると、何やら背後から強烈な磁力を感じたので振り返ると・・・

人を引き込む笑みを浮かべた考古学マスターズがッ!!

 

これは間違いなく、誰も知らない京大キャンパスの魅力に出会える予感。
予測不能な後編、ご期待ください!!

 

ところで・・・待ち合わせ時間まで少し時間があったのですが、重永さんと広報Bはまだ話し足りなかったようで、クスノキ前のベンチで補習を開始。
オーバーペースで広報Bが燃え尽き症候群になってしまうかどうかも、後編の見どころです。

 

のどかな見た目とはかけ離れた 熱く燃え上がる重永さんの情熱

 

散策マップはこちらからダウンロードできます!
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/downlodemap/pictorial_map.html