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No.119

update.2021.09.29

強みは豊かな経験と人間性。「個性」と「意欲」をアピールできる特色入試

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秋の気配を感じるこの時期。
受験生のみなさんは、入試に向けて忙しい日々を送っているのではないでしょうか?
自分に合った選抜方式を調べるのも、なかなか大変ではないかと思います。

京都大学には京都大学特色入試という独自の選抜方式があります。
学力だけでなく、学ぶ意欲や志まで総合的に評価するというもので、試験内容はそれぞれ異なりますが全学部・全学科で実施しています。

そこで、今回は特色入試で入学した教育学部2回生の堀口叶夢さんにインタビュー!

特色入試についてはもちろん、高校時代のことやコロナ禍でスタートした大学生活についてお話をうかがいました。
受験生のみなさん、そして中高生のみなさんもぜひご一読ください!

今回はオンラインで取材を行いました!

ダンスに部活に学校行事。とにかくアクティブに過ごした高校時代

――まずは、堀口さんの高校時代のことから聞かせてください。どんな高校生でしたか?
「何にでも積極的に、本気で取り組む生徒でした。学校行事の文化祭や体育祭に全力を注いだり、ハンドボール部に所属して毎日ハードな練習をこなしたり。また、幼稚園のときからダンスを続けていて、2016年にはアメリカで開催された“World Hip Hop Dance Championship”に出場し、銀メダルを獲得しました。
忙しくて塾に通う時間はありませんでしたが、学校の勉強は手を抜かず、自分なりに「文武両道」に励んでいました。思い切り青春を味わった、楽しい高校生活でした」

“World Hip Hop Dance Championship”で銀メダルを獲得した時の堀口さん(前列中央)

――す、すごい…ものすごくアクティブな3年間だったんですね。
「そうですね。私は「考える前にまず行動」というタイプで、興味をもったことにはどんどん挑戦したくなってしまうんです。学校の国際交流プログラムの代表としてタイ王国に1週間滞在し、サイエンスフェアで英語で発表したこともあります。また、小学生のときから妹と漫才コンビとして活動していて、高校の文化祭では漫才とダンスを披露したりもしました」

――本当にパワフルで驚かされます。高校時代は関東にお住まいだったそうですが、京都大学に進学しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
「私が通っていた高校では、東大や京大など国公立大学を目指す人が多かったんです。それで私も自然と、どちらかに進学することを考えるようになりました。
とくに京大には「おもしろい大学」というイメージがあって憧れていました。「おもろチャレンジ」のような制度があることからも、学生の個性を肯定して、チャレンジを応援してくれる大学なんだろうなと。
あと、小学校の6年間は父の仕事の都合で関西に住んでいたんです。関西の人のおもしろさや人懐っこさがすごく魅力的で忘れられず、「もう一度関西で暮らしたい」という気持ちもありました」

文化祭の様子。堀口姉妹がステージでパフォーマンス!

タイ王国への訪問。ホームステイで現地の生活も体験したそう

偶然見かけたポスターがきっかけで、特色入試に挑戦

――それで京都大学を受験することにしたんですね。特色入試を選んだ理由は?
きっかけはポスターを見かけたことでした。「意欲買います。京都大学」と大きく書かれていて「なんだこの入試は?!」とすごく惹きつけられました。一般入試でも受験するつもりだったのですが「京大に入りたい!」という熱意は誰にも負けない自信があり、自分の強みを生かせると思ったので、特色入試にもチャレンジすることにしたんです」

当時のポスター

――ご自身の強みはどんなことだと考えていましたか?
「やっぱり中学・高校といろんなことに挑戦して、豊かな経験を積んできたことですね。
高校時代、東大・京大を目指す同級生はかなり早い時期から受験勉強に勤しんでいて、私も勉強を頑張っていたとはいえ、遅れをとっていることは自覚していました。でもその分、自分には多彩な経験によって培ってきた人間性や、持ち前の行動力がある。それをアピールできるのが特色入試だと思ったんです。「こんなにもいろんなことをしてきて、かつ京大を目指している人はいないだろう」という自信もありました(笑)

――それが認められて、見事合格されたんですね!
「はい、でも実は特色入試の第2次選考までは通過していたのですが、センター試験の点数が足りず、最終合格できなかったんです…」

――では、特色入試を2度受けられたということでしょうか?
「そうなんです。1年間の浪人生活を経て、もう一度特色入試にチャレンジすることにしました。
浪人中はひたすら勉強。それまで学内外で様々な活動をしてきた私にとって、1つのことだけに集中するという経験は初めてでした。でも一度立ち止まって、自分自身と向き合うことができた特別な1年間だったと思います」

小さい文字でびっしりと思いを綴った、「学びの設計書」と「学びの報告書」

――そして、2度目の特色入試で最終合格されたんですね。ところで、教育学部の特色入試では、中学時代から取り組んできた「学び」の活動を記入する「学びの報告書」と、「学びの設計書」(志望理由書)を提出する必要があります。堀口さんは書くことがたくさんあったのではないでしょうか?
「はい、どちらにも書きたいことが多すぎて字がすごく小さくなってしまいました(笑)これまでどう育ってきたのか、その経験をこれからどう活かしていきたいのか。自分の人生をじっくり見つめ直して考えを整理しながら、かなり時間をかけて言葉にし、ときには塾の先生にもアドバイスをもらいながら、何度も推敲を重ねて完成させました」

――「学びの設計書」には、具体的にどんなことを書かれたのですか?
「先ほども少しお話しした、ダンスの世界大会で感じたことが土台になりました。
"World Hip Hop Dance Championship"は「ダンスのオリンピック」ともいわれていて、世界50カ国以上からチームが集まってくるんです。そこで、負けて泣き崩れるチームを他のチームが励ましたり、金メダルをとったチームをみんなで称え合ったりする様子を目の当たりにして。言葉を介さなくても、身体を通じて人々は感動を共有することができるということを実感したんです。
一方現代社会では、直接的なかかわりが減って、画面越しの間接的なコミュニケーションが増えていますよね。しかし、そうしたなかでも、身体性を感じることはできるのではないかと考え、間接的なコミュニケーションの可能性と限界について研究したいということを書きました」

"World Hip Hop Dance Championship"の会場。世界中のダンサーが一堂に集結!

――志望動機も、堀口さんの実際の経験から出てきたものだったんですね。
「はい。実際に大学で学び始めたことで変化した部分もあるのですが、入学前の時点で自分の興味と指針を明確にしておけたのはよかったと思います。大学ってすごく自由な場で、やりたいことはなんでもできる環境なんですよね。逆にいえば「何をすればいいかわからない」という状況にも陥りやすい。だからこそ、入学の時点で学びたいことをまとめておいたのはよかったです。今でもたまに読み返して、初心を思い出しています」

――特色入試では口頭試問もありますよね。どのような雰囲気でしたか?
「「学びの報告書」「学びの設計書」についての質問が中心だったので、とても答えやすかったです!提出書類に書いた内容を、自分のなかでさらに具体化させてから口頭試問に臨んだので、伝えたいことを伝えられました。穏やかな雰囲気で、楽しかったです」

――準備万端だったんですね。特色入試合格の決め手はなんだったと思いますか?
自分の強みをしっかり理解してアピールできたことではないでしょうか。あとは熱意!2度も特色入試を受けたことからもわかっていただけると思いますが「どうしても京大に入りたい」という強い思いを自分の言葉で伝えられたのがよかったのだと思います」

コロナ禍のなか始まった大学生活。オンライン交流会でたくさんの友達ができた

――入学後のことについても聞かせてください。コロナ禍で始まった大学生活だったと思いますが、入学当初はどんな気持ちでしたか?
「当時はコロナ禍がこんなに長引くとは思っていませんでした。入学式の中止や1ヶ月間の休講もあり「これからどうなるんだろう…」という今後への不安もありましたが、新生活への期待が不安を上回っていましたね」

――初めての一人暮らしで大学にも通えず、心細くはなかったですか?
「それが、教育学部では先輩が新入生のことを気遣って、zoomでオンライン交流会を開いてくださったんです。さらに、先輩が交代で24時間待機している「24時間ラウンジ」というミーティングルームもあって、いつでも誰かと話すことができました。そのおかげで大学についていろいろと質問できましたし、学部内の友達もたくさんできたんです。下宿生が多い京大だからこそ、こうしたこともできたんじゃないかと思います」

――24時間はすごいですね!先輩の優しさを感じます。
「本当にありがたかったです。教育学部は京大最少の学部で、1学年が60人程度なんですね。すごくアットホームな雰囲気で、先輩・後輩のつながりも強く、みんな本当に仲が良いんです。私は人とかかわることが生きがいなので、密につながれる教育学部はぴったりでした」

キャンパスライフのひとコマ。一番左に写っているのが堀口さん。

――リモート授業はいかがでしたか?
「オンラインであっても先生の話はしっかり聞けるので、問題はなかったです。緊急事態宣言が明けてからは、友達と一緒に受講したりもして、すごく楽しみながらリモート生活を送っていました。とくにオンデマンド授業は好きな時間に受講できるので、自分のやる気に合わせて1日の過ごし方を自由に組み立てられる、リモートならではのメリットを感じました
周囲からは「大変だったね」と言われることも多いのですが、何事もポジティブに捉えられる性格なので(笑)」

――なるほど、マイナスなことばかりではなかったんですね。
「そうですね。リモートと対面、それぞれにいいところと難しいところがあると思います
対面授業では近くにいる人の反応が見られて、とても刺激になりました。先生が授業の前後にするちょっとした話や、友達とのあいさつなど、何気ないところで人とのかかわりの大切さを実感することが多かったです」

オンライン授業を受けている様子を再現してもらいました!

特色入試は、自分にとっても意義のある機会だった

――入学前は「間接的なコミュニケーションの可能性と限界」に興味をもっていたとのことでしたが、今はどうですか?
「人やコミュニケーションへの興味は変わっていませんが、最近はとくにエンターテインメントとその発信に関心があります」

――というと?
「SNSやYouTube、zoomなど、ここ1、2年で、オンラインでの表現や情報発信のかたちが多様化しているように感じるんです。世界中の人々と実際に会うのは難しくても、オンラインではより気軽につながりあえるようになった。これはとても大きな意味をもっているはずです。
そしてオンラインで発信される多様な表現によって、たくさんの人が支えられていると思うんですね。私自身も、人の心を動かす様々なエンターテインメントを見てきました。なのでこれからは、エンターテインメントの可能性について考えていくつもりです」

――他に、残りの学生生活でやりたいことはありますか?
「そろそろ将来についても具体的に考え始めたいと思っています。あとはせっかく京都に住んでいるので、ここでの生活を満喫したいですね。また今後の状況次第ですが、海外に行って知見を広めたいという思いもあります」

――最後に、特色入試を検討している受験生の方、京大への進学を検討している高校生に向けたメッセージをお願いします。
「一般選抜の勉強と特色入試の準備を並行して進めるのは、大変だと感じるかもしれません。私自身、時間が足りないと焦る一方、提出書類の作成にあたっては落ち着いて考える時間が必要だったので、メンタル面でのコントロールが難しかったです。
でも、負担は大きいものの、自分自身や入学後の学生生活について、考えを整理するとてもいい機会になりました。今振り返っても受験して本当によかったと思いますし、すごく意義のある選抜方式だと思います。
周りとは違う経験をしてきた人や、アピールできる強みをもっている人は、大きなチャンスと捉えてぜひ挑んでみてください!

――堀口さん、ありがとうございました!