2017.03.07
京都大学のおもしろ研究者「ベニクラゲマンって…!?」
こんにちは、
ザッツ・京大編集部です。
まずは、こちらの資料をご覧ください。
なんでしょう?いったい何をしているんでしょう。
これは、「おもろチャレンジ」という制度で
海外に行って来た学生たちの活動の一場面です。
ここで、「おもろチャレンジ」について解説。
平成28年、山極総長のWINDOW構想に掲げられた「野生的で賢い学生を育てたい」、
「異文化を理解し国際的に 活躍できるグローバル人材を育成したい」
という想いを実現するため、 新しい体験型海外渡航支援制度が始まりました。
これが、「おもろチャレンジ」
既存の留学ではなく、学生の主体的に海外で学んでみようという意欲を
後押しすることを目的として、京大卒業生財界トップによる総長支援団体である
「鼎会」(かなえかい)の支援によって創設されました。
詳しくはこちら
「平成28年度京都大学体験型海外渡航支援制度-鼎会プログラム「おもろチャレンジ」- の募集について」
(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/international/events_news/office/kyoiku-suishin-gakusei-shien/kokusai-kyoiku-koryu/news/2016/160620_1.html)
今年ももちろん開催してます。(締め切り終わっちゃったけど、、)
「平成29年度京都大学体験型海外渡航支援制度
-鼎会プログラム「おもろチャレンジ」-の募集について」
(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/international/events_news/office/kyoiku-suishin-gakusei-shien/kokusai-kyoiku-koryu/news/2017/170601_1.html)
平成28年度の応募資格はこんな感じでした。
1:正規学生(休学者を除く)であること。(グループでの応募も可)
2:概ね3週間以上の海外での活動であること。(注1)
3:2016年7月16日から2017年2月28日までに開始する活動であること。
4:海外で活動できる健康状態であること。
5:治療救援者費用無制限の保険に加入すること。
6:海外滞在リスクを十分認識し自らを律することができること。海外での活動はあくまでも自己責任であるため、採択者は海外渡航誓約書を提出すること。
7:終了後は報告書を帰国後2週間以内に提出し、報告会で報告書に基づいた発表を実施すること。報告会の日程は2017年3月を予定しています。
(注1)海外での活動であっても、単なる観光旅行のような活動は支援せず、フィールドワーク、資料収集、海外調査等、目的が明確であることが求められます。
いかがでしょうか?
「おもろチャレンジ」というフランクなネーミングの割には、 しっかりとしたポリシーと覚悟がないと
難しそうな感じがしますよね。
海外渡航ですから、生半可な気持ちではチャレンジできませんよね。
そして、募集に対して、われこそはと思う意欲をもった学部生53名、 大学院生62名の計115名(意外に多い!?)が
応募し、31名が採択されました。 はれて、ここに31名の「おもろチャレンジャー」が誕生したわけですね。
ちなみに採択者のリストは
こちら(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/international/events_news/office/kyoiku-suishin-gakusei-shien/kokusai-kyoiku-koryu/news/2016/160715_2.html)でご確認いただけます。
今年(平成29年度)の結果も既に出ていて、学部生74名、大学院生69名の計143名の応募があり、厳しい審査を通った30名が採択されています。
平成29年度の採択書のリストはこちら
その、総長肝いり企画「おもろチャレンジ」平成28年度版に採択されたメンバー、
いや、チャレンジャー達の 報告会が先日開催されました!
今回のザッツは、その報告会に潜入し、
どのような活動をチャレンジャー達がしていたのか、経験したのか、
その一部始終と報告会の様子を現場からお伝えいたします!
平成28年度に採択された31名の「おもろチャレンジャー」の中から、
今回、3名の報告会が開催されました。
さぁ、どんなチャレンジだったのでしょうか。
興味深々です。
(こういった思い切ったチャレンジができるのは
学生の時ならではこそかもしれませんね)
さぁ!チャレンジャーの報告が始まります。まずは、和田さん!
工学研究科
修士課程1回生
和田雄佑さん
報告内容は、
「イタリア山村過疎集落の再生事例調査」
【和田さんのおもろチャレンジざっくり解説】
工学部において、日々建築についてさまざまな思考を巡らせていた和田さん。
ある日、日本が抱える少子高齢化・人口減少に直面した社会環境がイタリアにもあり、
特に過疎化が進む農村や山間部の集落は空き家であふれていることを知る。
と同時に、こうした状況を改善するべく、長い歴史を持ちながらも空き家になってしまった建物を改修し、
まち全体が一体となって活性化に取り組む事例が存在していることを知り、自分の目で確かめてみたくなった。
それが今回のテーマとなった「Albergo Diffuso (アルベルゴ・ディフーゾ)」である。
昨年9月に 約1ヶ月、おもろチャレンジャーになりイタリアで調査を実施。
調査と平行し、イタリア語を学んでいて、帰国後は文献等も読めるようになり、
11月には、アルベルゴ・ディフーゾ協会会長と会うことができ、直接話をすることもできたそうです。
和田さんの描いたコンセプトイメージがアルベルゴ・ディフーゾ協会HPに掲載されています。
海外での活動の一連のプロセスを自分でつくり経験できることが、おもろチャレンジの魅力だと思っています。少し緊張しましたが、その一連のプロセスに含まれる活動報告を、ご支援くださった鼎会の理事の方々や総長の前で、プレゼンテーションという形で行うことができてよかったです。
次の報告者は横井さん!
和田さんに続き、
農学部3回生 横井朱里さん
報告内容は、
「エチオピア人の味覚を探り、新嗜好品を提案する」
【横井さんのおもろチャレンジざっくり解説】
横井さんがアフリカに住む人の味覚に興味を抱いたきっかけは、
1回生の2月にShareStep(農作物を販売することで孤児院の運営資金にする)の自立支援活動で訪れたガーナでの食事体験だったそう。「ん?かなり酸味がきつい。毎日単調な味付けなのも気になる。
もしかしたら、そもそもアフリカ人と日本人では味覚というものが違うのかもしれない」現地でそう感じた横井さん。
将来は「食」を通じてアフリカに関わっていきたいという夢を持つ彼女にとって、それは最大の疑問となったのでした。
帰国後も(国が違うと食べ物の味付けや好みが変わる)という謎を追い続けていたところ、
「おもろチャレンジ」の応募の話を知り、熱い胸の内を企画書にまとめあげます。そして、その思いは叶ったのでした。
アフリカ大陸にあるエチオピアという国で約1ヶ月間「エチオピア人の味覚を探り、新嗜好品を提案する」ため
以下の4つのアプローチで実践してきました。
A. 食事調査……エチオピア人の食生活・文化を理解する
B. 味覚閾値(いきち)調査……味覚を感じる能力自体に違いはあるのか
C. 日本の食品に対する反応……日本を絡ませた新嗜好品へのヒント
D. 文化の観察……食につながる伝統文化やその他の要因を把握する
やってみないとわからない。
少しでもやりたいと思ったことは、やるしかない!!
今回、エチオピアでの現地調査をさせていただき、帰国後は「良い経験になった。ほんとのほんとに行ってよかった」と思う反面、実は渡航前はホームステイ先でうまくやっていけるだろうか?と不安だったりだとか、閾値調査というものを日本で実施したこともないのに、いきなりアフリカでやる私?と行ってから自分の計画のなさを後悔するとか、結局、テフ(エチオピアで栽培されている穀物)を用いた嗜好品作りまでは形として提案できなかったり、反省は多くあります。ですが、少しでもやりたいと思ったことはやるしかない!!この信条はブレることなく、今回の反省を生かした次の渡航計画を練っています。このチャレンジを企画して下さった方々に心から御礼を申し上げます。この企画に興味のある方、ぜひ応募してみることをおすすめします。
企画書を作るだけでも自分の成長につながりますよ!
そして、最後の報告者は山下さん!
今回の報告会での最後の報告者は、
総合人間学部4回生 山下耕さん
報告内容は、
「ナミビア学術探検への試み」
【山下さんのおもろチャレンジざっくり解説】
京大探検部に所属している山下さん
《京大探検部については⇒(http://ecku.s76.xrea.com)(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/mm/jitsuha/160630.html)》。
これまで国内だけにとどまらず、積極的に海外のさまざまな場所に出向き、パワフルに探検活動をしてきた強者です。
その彼がなぜ今回、おもろチャレンジャーとしてナミブ砂漠で学術探検を試みたのかというと、
「2年前にモロッコのサハラ砂漠に行ったのですが、壮大な砂漠の魅力に心奪われてしまいまして。
それ以来、砂漠に焦点をあてて活動しています。学生の身ですから金銭面という問題で、
やってみたい企画をあきらめることもしばしば。
今回、資金面を心配することなくナミブ砂漠にて探検することができて、本当にありがたかったです」とのこと。
目的はナミビア大西洋側に位置するナミブ砂漠において
『ナミブ砂漠の徒歩縦断は可能なのか?』という課題を調査すること。
拠点には、現地の京大所有施設を使用。そこで仲間たちとじっくりと徒歩縦断の計画を練り、
施設をお借りすることができたのは、京大の「おもろチャレンジ」ならではだと感謝。
現地までの移動はレンタカーで10,000キロを走行。現地でレンタカーを借りるとかなり高いそうで
おもろチャレンジのおかげで、こういった移動費用の資金面も難なくクリアでき、本来の目的である調査に集中することができたそうです。
現地での活動は、
・気象観測(自分たちでの気象観測と地形、日照量等データ解析、凧あげによる空撮、ハンディ計測機の活用)
・研究機関の訪問
・書籍や地図の入手
・関係省庁への交渉
・気象庁の訪問、データ受領
など多岐にわたったそうですが、実際に経験をして感じたことは、
『とにかくまず行ってみる、実際に歩いてみる。それが自分の成長につながる』ということだそうです。
「今回、私たちが実際に歩いて検証した結果、ナミブ砂漠の徒歩縦断は、自然環境として可能であることがわかりました。ですが、国立公園の利用になるため許可の難しさがあると思います。
私たちおもろチャレンジャーは、京大の調査ということで申請がスムーズであったことも、後押ししてくれる方々に支えられてこの旅ができたことを実感しました。
チャンスを与えていただき本当に感謝いたします。これからも、調査、対象地域を再検討など、まだまだチャレンジは続けていきますので、興味のある方は、ぜひ一緒に砂漠を歩きましょう。」
3人のチャレンジャーの報告が終わりました。
それぞれ多種多様な報告内容で、聴き応え満載でした!
報告の様子もみなさん落ち着いていて、いい意味で学生らしからぬ雰囲気が漂よっていました。
おもろチャレンジでの経験がそうさせているのかな?
さて、今回は、
3人のおもろチャレンジャーによる、おもろチャレンジの報告会の様子を紹介しました。
3人の報告内容は、それぞれにテーマがあり、独特の着眼点があり、個性があり、
聞いていて、とても興味深いものばかりでした。
3人とも、偉い方々の前でも、物怖じせず、
しっかりと調査内容を報告しており、素直に関心いたしました。すごい!
おもろチャレンジを通じて、みなさん貴重な経験をした様子で、
このようなチャレンジは、学生の今だからこそ、できることかもしれませんね。
おもろチャレンジは今年もやってます!
今年度の報告会にはぜひ参加してみてください!
今しかできない経験を積んでいる学生の話は必見?必聴ですよ。
できることなら、私もチャレンジしてみたい!
次のチャレンジャーは君かもしれない!
それではまた、次のザッツで!
(※京都大学体験型海外渡航支援制度 ~鼎会プログラム「おもろチャレンジ」~は2020年度で終了しています。)