No.2

update.2017.03.01

365日火山愛!火山と向き合う人、の巻

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こんにちは、ザッツ・京大編集部です。

突然ですが、皆さんは火山を見たことがありますか?

ニュースなどでドーーンと噴煙が上がる映像を見たことはあっても、実際にこの光景を目の当たりにしたことがある人は、少ないのではないでしょうか?そんな方は、ぜひ一度、気象庁のWebサイトをのぞいてください。他の国と比べ土地の狭い日本において、活火山といわれる山が多いこと、多いこと。今、この瞬間にも火山活動は起きているのです!

火山の噴火も、自然災害の一つ。
そして、それは人々の生活をも脅かしかねない自然災害につながる脅威の一つでもあります。気象庁のWebサイトで「日本めっちゃ火山多いやん」と日々活動する火山について興味を持たれましたならば、今度は京大へシフトチェンジを。実は「いつ災害が起こるかわからない!」という緊張感を持って、365日火山と向き合っている人たちが京大にもいます!それが、京大の遠隔地施設の一つ、鹿児島は桜島にある火山活動研究センター。今回広報Hが突撃取材してきました。

「火山活動研究センター」ってどんなところ?

防災研究所附属火山活動研究センター

火山活動研究センター。もう説明するまでもなく、その名の通り、火山の活動を研究する施設です。その歴史は深く、前身の桜島火山観測所は、1955年から始まった南岳の山頂火口における噴火活動を背景に1960年に設立。その後、1996年に火山活動研究センターへと改組。日本で最も活動的な桜島をはじめとして、薩摩硫黄島(さつまいおうじま)、口永良部島(くちのえらぶじま)、諏訪之瀬島(すわのせじま)など霧島火山帯に属する火山群をフィールドラボラトリーと位置づけ、常時観測と現地観測調査を行っています。
独自に進めている観測・研究に加え、国内外の大学・研究機関と共同で観測・研究を実施するとともに、ハザードマップの作製や住民を対象としたセミナー・説明会の開催など、火山防災に資する活動にも精力的に取り組んでいます。

火山活動研究センター見学レポート!

京都から鹿児島へもなかなか遠い道のりです。でも、なんだかワクワクしている自分に気づきます。
ふだん火山とは縁遠い生活をしているので、もうすぐ「火山を見れる」と胸が高まります。
ちなみに、京都から鹿児島への道程パターンは、飛行機、新幹線、夜行バスなどがあります。

鹿児島に到着したら、いよいよ海を渡ります。

いざ桜島へ出発!

桜島へは、鹿児島港からフェリーで向かいます。
火山活動研究センターのスタッフの多くは、毎日このフェリーでセンターへ通っているそうです。
またこのフェリー、なんと24時間運航!海に囲まれた桜島、船があるとなんと心強い。
島の人たちの大切な足となっているんですね。

  • 青い空。白い雲。この表現はズバリこの鹿児島の風景を表しているんじゃないかと思うくらい、シンプルに美しいです。
  • フェリーなんてめったに乗ったことのない広報H、ここでもワクワクが止まりません。海がとても綺麗でのぞき込んでしまいたくなるのですが、鈍くさい広報Hは落っこちそうなのでおとなしく着席。
  • 約15分のゆるやかな船旅を終え、ついに桜島の大地を踏みしめました。

火山活動研究センターに到着。

センターは桜島港から徒歩約10分のところにあります。坂を上っていくと見えてきました!

あれ?リゾートホテルかな?いいえ立派な観測施設です!

  • 年季の入った看板。桜島観測所の名がはっきりと刻まれています。
  • 中に入ると、大正3年の大噴火の際の写真などが展示されています。

[いざ潜入取材スタート!!]

ここは火山基礎研究の基地

センター内部を案内してくれたのは、中道治久 防災研究所附属火山活動研究センター准教授。

ハッ。初代施設長の佐々憲三教授とソックリ・・・と思ってしまったのはワタクシだけでしょうか・・・。

火山だけじゃない!噴火の前兆となる地殻変動も!

このセンターは、現在繰り返されている昭和火口噴火の観測基地となるばかりではなく、今後予想される大噴火の予知を行うための基礎研究の基地ともなっているとのこと。大活躍するのが、水管傾斜計や伸縮計などの観測装置!これらは外気温の変化を受けにくい観測坑道の中にあり、噴火の前兆となる微小な地殻変動をいち早く検知!次はそんなすごい装置へ・・・


熱のこもった説明をする先生。火山愛が溢れています。

いろんな装置、数々の研究部屋があり、興味津々で先生の後をいそいそとついていく広報H。とりわけ京大ならではなのが「煤書き地震記録装置」という開所当初から稼働している装置。そう、火山活動に伴って起こるのは噴火だけではありません!山頂噴火の前兆となる地震も、注意しなければならない災害の一つ。センターでは地中地震計や広帯域地震計を用いて火山性地震・微動の観測も行っているのです。この装置では紙を焼いて炭を定着させる煤付けという昔ながらの手法をとっていますが、これが一番確実で、最も良い状態で記録を残せる方法なんだとか。ガスバーナーで炎を出してその先に紙をあて、ドラムを回しながら煤を付けていきます。しかも100年前と変わらぬ手法!これを今でもやっているのは京大だけ!さすが我らが京大!

  • 地震や噴火に伴う空気振動を記録するための煤書き記録装置です。全部で7台が稼働しています。
  • しかし機械が壊れてももはや直せる人がいないので、維持が大変だそうです・・・。
  • 装置に近づいてみると、細く線が引かれているのが分かります。アナログだけど精密です。
  • ここは何をする部屋ですか?なんとなく部屋の名前でイメージは湧きますが・・・「煤書き記録装置の紙を交換して、煤を付けるための部屋です。」
  • 「これは、煤付け装置です。煤書き記録装置のドラムに紙を巻き付けて、モーターをぐるぐる回しながらガスバーナーで煤を付ける装置です!」
  • 「記録紙をニス液にくぐらせることで、記録紙の煤を固定します。ドラムからはがしニスを付けた後、記録紙を乾かします。1日乾かせば100年保つ記録紙の完成です!」

書き記録を交換している様子はコチラ!↓↓↓

ハルタ山観測室にある機械式地震計の煤書き記録交換の様子。
(交換しているのは為栗健 助教)
これは現在稼働している国内唯一の機械式地震計。「初代施設長の佐々教授が考案された地震計です」と熱く語っていました。

「自然に学ぶ」

自然に学ぶ。1955年の桜島南岳山頂噴火時から、ずっと火山活動を見守ってきた初代施設長、
佐々教授の言葉です。

火山は必ず、事前に何らかの予兆がある。教えてくれる。
その自然からの信号に耳をすまさねばならない。

そんな自然からのメッセージによって、微小な動きをとらえることができれば、大規模な災害を防げるかもしれない。
そこには人間の生命を守ろうとする使命感・緊張感と、自然と共存していこうとする姿勢が見てとれます。
佐々教授が自らに言い聞かせていた教訓でもあるこの言葉は、今もこうして大切に額に飾られ、センターのスタッフ全員の心に響いています。
この言葉を胸に、センターのスタッフは今日も火山、自然と向き合っているのです。
ひととおりセンター内を見学し、火山活動を観測・研究するための充実した設備に感動していたところで・・・桜島に新たな観測坑道ができるとの情報をキャッチ!
新坑道の見学会が行われるということで、そちらにも行ってまいりました。

新観測坑道「高免(こうめん)坑道」潜入レポート!!

桜島にはすでにハルタ山、有村と2本の観測坑道が存在していますが、桜島の北東にできた3本目の観測坑道は一味違います!
それは既存の観測坑道の規模そのままに、大規模噴火に対応できるようグレードアップしていること。
この観測坑道ができた経緯は、2013年に桜島周辺の4市(鹿児島市・垂水市・霧島市・鹿屋市)からなる「桜島火山活動対策協議会」が、保岡興治 衆議院議員に火山観測・研究の拡充を要望したことから始まります。桜島火山のことをよく知り、噴火被害の恐ろしさや影響を肌で感じている地元の方々から、「火山の特性に応じたよりきめ細やかな観測・研究ができるように」と声があがりました。

なぜ火山観測・研究の拡充が必要なの?
桜島は国内でもとりわけ活発に火山活動を続けており、地域住民の生活圏と非常に近接していることから、住民の生活にも大きな影響を及ぼしています。姶良(あいら)カルデラ下には大正噴火当時の約9割のマグマが蓄積されており、火山活動の長期化・活発化、さらには大正噴火級の大噴火が起こる可能性も懸念されています!

住民の安全、そして生命を守るためにも、火山噴火予知に向けた観測・研究を十分に行える環境の整備が不可欠となっています。

また、大噴火が発生すると経済やライフラインが停止するほどの深刻な影響を与えることから、火山噴出物量による災害予測やリアルタイムの情報提供ができるよう、観測・研究の拡充も求められているのです。

なぜ観測坑道が必要なの?
火山活動を事前に検知し、防災対策をとるために坑道は重要な役割を担っています。
なぜなら、坑道は外気温の変化を受けにくく、より精密に地殻変動を検知できるスポットであるから。
1本目のハルタ山観測坑道は南岳爆発の70%、2本目の有村観測坑道は昭和火口爆発の90%について、直前に起こる地盤の隆起・膨張を確認できていました。そこから噴火に備えた早期対策の実践が可能となっていました。
しかしこれらは小規模噴火の場合です。大規模噴火については未経験で、既存の技術で太刀打ちできるかは分かりませんでした。
そこでこの高免観測坑道については、ハルタ山、有村観測坑道の規模を踏襲しながらも、水管傾斜計と伸縮計を一つの器台へ乗せコンパクトにする、坑道内システムをデジタル化することでより高精度な観測を可能とするなど、これまでとは一味違う工夫をこらした設計が行われたのです。

観測データは、自治体の避難計画や気象庁の監視観測に活用されます。大規模噴火の際は京大がデータ集約・解析の拠点機能を果たし、県と連携をとってデータを避難決定などの防災対策に活用してもらいます。

坑道内部に潜入!

  • 取材時はお披露目用にデコレーションされた坑道。さあ、いよいよ潜入します!
  • 屋外と比較すると、坑道内がずいぶん暗いことが分かります。引き返すなら今だぞ!(探検家心の声)
  • 長く伸びる坑道。ダイナマイトで溶岩を爆破しながら掘り進められたものです。長さは235メートル。
  • 坑道を進んでいくと、長く伸びる管を発見!もしやこれが噂の観測装置!?
  • ケースの中に水が入っています。・・・ということは水管傾斜計ですね!本来はこの水槽の上に黒いセンサーが取りつけられています。
  • センサー装着後。二つの水槽に浮きをうかべて、水位差を読み取り、地盤の傾斜を算出します。
  • 温度計収納箱です。コードが何本も延びていて、さまざまなところにデータが送られるであろうことが予想されます。
  • こちらは伸縮計。地盤に設置された二つの台の片方に基準尺を固定して、基準尺の長さに対する地盤の伸び縮みを測ります。
  • 小部屋にたどり着きました。奥に見えるまあるい物体は何でしょう?
  • 左の緑色のものが広帯域地震計です。右の黒いのは地震計カバーです。人が感じないくらい小さな地震から人がわずかに感じる少し大きな地震まで観測できます。なんと、4分間のゆっくりとした地面の揺れも観測できるんです!
  • こんなスゴイ技術が隠されていたとは・・・大規模噴火に対応できる、レベルアップした新観測坑道。ますます期待が高まります!技術の進歩、桜島の未来に思いを馳せながら、坑道を後にしました。

火山活動研究センターについて、詳しくはこちら!

京都大学防災研究所附属火山活動研究センター 桜島火山観測所
http://www.svo.dpri.kyoto-u.ac.jp/svo/
日々の活動に興味を持たれた方は、
ぜひ、サイトをチェック!

[取材を終えて]

桜島の噴火活動は、時代とともに形態を変えてきています。それに合わせて観測技術の向上や噴火機構の研究拡大などが必要になってきます。
今回見学した火山活動研究センターは、地元の方々の理解・協力を得ながら、より早く、より正確な噴火予知と防災対策を目指してきました。新観測坑道の建設は、地元の方々の期待、桜島の未来を背負った新しい一歩と言えます。
火山を思い浮かべるとき、山だけではなくて、その周辺に暮らす人たち、それを見守っている人たちのことも意識することも大切なんですね。
京都大学の研究幅の広さとその重要性に改めて気づきました。
日夜その責務に応えるべく、研究されているセンターの方々。
まさにザッツ京大です。