No.14

update.2017.03.02

夢はサーキットを駆け巡る! KARTの熱い1年に密着、の巻

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こんにちは、ザッツ・京大編集部です。
まずは、コチラをご覧ください。

趣味のレース観戦に出かけた時に撮影した写真ではありません。このフォーミュラカー、京大生がつくったのです! 昨今D.I.Y.ブームですが、フォーミュラカーを1から手づくりするとは。そんな突き抜けたな活動をしているのが、「京都大学KART」(Kyoto Academic Racing Team)。

KARTが設立されたのは2003年。同じく2003年から開催されている「全日本フォーミュラ大会」の優勝を目指して、日々がんばっています。この大会は学生自らがチームマネジメント、マシンのデザイン・製作・走行を行い、速さだけでなく製作過程全般に渡る総合力を競うのが特徴。KARTは第2回大会から出場しており、2013年には総合優勝をするなど輝かしい実績をもっているのです(キリッ!)。

大学構内でクルマをつくっているという情報を入手した時は、ちょっとしたサークルを想像していたのですが、完全に予想を超えていました。というか、本気度ハンパないじゃないですか! しかも、メンバーは涙が出るほどピュアな情熱をもっているじゃありませんか。そんな彼らの活動を取り上げずに何を取り上げる?! ということで、約1年におよぶ取材を決行! そこにはマシンに負けないくらいのパワーがありました。ぜひ、彼らが2016年「全日本フォーミュラ大会」にチャレンジする、熱い青春ドラマを追体験してください。

◎ フレーム製作(2015年12月〜2016年3月)

まずはマシンの基礎となるフレームづくりを取材するため、吉田キャンパス内にある吉田工房、通称「工場」を訪問。

入口はごく普通。まさか、この中でフォーミュラカーがつくられているとは誰も想像するまい。しかしその内部は精密機械が並ぶファクトリー。この秘密基地感がたまりません。そしてその中に入ると、そこにはもくもくと作業に取り組む素朴な学生たちが。

うん、確かにフォーミュラカーの骨組みをつくっているのは分かる。でも、素人は何をどうしているのかはさっぱりです。
「ぼくたちKARTは、世界的にみても採用チームが少ないアルミスペースフレームや軽量のカーボン製カウルを使用して、基本性能のシンプル化を追求しているんです。これができるのはチームが12年間培ってきたノウハウのおかげです」(メンバー)
……なるほど。詳しいことは置いておくとして、とにかく凄いことにチャレンジしていることは伝わってきます。
また、他の大学のチームは何十人という大所帯なのに対して、KARTは実質7人で活動しているとのこと。(※取材当時)
「メンバーの勧誘もしたいのですが、なかなか手がまわらなくて。今年こそはがんばります!」と苦笑いするメンバー。

さて、3分間クッキング的に工程を紹介すると、

こんなことやあんなことをすると

こんな感じになります。
何となくクルマの雰囲気が出てきました。

◎ 着地完了(2016年4月)
入学式が終わり陽気も温かくなってきた4月、メンバーから「今年の車両が着地(タイヤ装着完了)したので見にきてください!」という連絡が入る。

当たり前ですがクルマになっている! しかも細部を見ると、かなり本格的。
メンバーに話を聞くと、休みの日も朝から晩まで工場にきて作業をしていたという。彼らの油で真っ黒になった手と顔が、それを物語っている。まわりにはコンパで盛り上がっている友だちもいるだろうに、なぜ、そんなにがんばるのかという質問をぶつけてみた。
「とにかくKARTでの活動が好きなんです!」と、一点のくもりもない笑顔で答えるメンバー。すみません、涙を拭くハンケチをください。まさに好きこそ物の上手たれ。その一言から、彼らのKARTへの情熱が伝わってくる。

ところで、新歓での新メンバー勧誘には成功したのだろうか?
「人手不足で勧誘できませんでした…」(肩を落とすメンバー)
そうですか…では、ザッツ編集部を代表して広報Bがプロモーション活動に協力させていただきましょう。

シェイクダウン(2016年5月)

ゴールデンウィークに、いよいよ初走行! エアロパーツなどで大きな進化を遂げた14号機。これからテスト走行を重ねて、ひとつひとつ課題をクリアしていきます。

コストレポート完成(2016年6月)

コストレポートとは、マシンをつくるにあたり、どんな素材を使用し、どのような加工を施し、どれだけの費用がかかったのかを詳細に記録した資料。先述したように、これも審査対象になります。
メンバー全員で作成し、締切りギリギリに完成。大きな山をひとつ乗り越え、メンバーもホッとひと息。まるで缶コーヒーのCMのような瞬間でした。

ウソみたいに分厚いコストレポート。審査ではコスト削減の方策やコスト管理の理解度、レポートの正確性などが問われるのだとか。正直、ザックリとしか見ていないんじゃないのと思ったら、「細かいところまでツッコミが入るんです。手抜きはできませんッ!」と、メンバーにつっこまれる広報B…。

◎ テスト走行(2016年6月〜8月)

9月の本番に向けて、本格的なテストがスタート。高まる期待と緊張感。さぁ14号機よ、お前の力を存分に見せてくれ!
と、エンジンをかけたところ、明らかにおかしな異音が……。顧問の山路先生の指示のもと、原因解明に取りかかる。
残念ながらこの日のエンジントラブルは原因不明のまま。走行するのは危険ということで撤収。
この後も、予期しなかったトラブルや「思てたんとちゃう!」という状況が続出。しかしこうしたことはよくあること。チームで課題解決に取り組むこともKARTの目的であり、醍醐味なんです。(by山路先生)
コンビニでおでんのすじ肉が売り切れていただけでその日のペースが乱れる私とは大違い。真剣に尊敬します。

◎ 本番 全日本学生フォーミュラ大会(2016年9月6日〜10日)

9月6日、エコパ(静岡県:小笠山総合運動公園)で、5日間におよぶ熱い戦いの幕が切っておろされる。今大会は、海外からの参加を含め過去最多となる106チームがエントリー。果たしてKARTメンバーの汗と涙がにじむような努力が報われるのか?! 編集スタッフもヒリヒリしてきます。

こちらは初日の技術車検の様子。KARTは一発合格とはいかなかったものの、再車検で合格。ドライバーテストも通過しました。

大会2日目は、静的審査(コスト、デザイン、プレゼンテーション)。上の写真は車体を傾けてオイルが漏れないかを確認する試験。14号機クンも、まさかエコー検査されるみたいに、こんな格好にされるとは思わなかったでしょう。
我らKARTはデザイン審査で、設計方法や車両の性能について熱い説明を行い加点。さらに口ベタゆえ課題だったプレゼンテーションも、去年に比べて高得点を獲得。ここまでは、かなり好調です。

大会3日目からはいよいよ動的審査がスタート。動的審査は、旋回性能を競う「スキッドパッド」、加速性能を競う「アクセラレーション」、走行タイムを競う「オートクロス」の3競技が行われます。
KARTは最終調整を行い、準備完了。しかーし!ここでトラブル発生!! 審査会場へ移動するための移動作業に時間がかかり、規定の競技時間に間に合わないかもという事態に。結局アクセラレーションにはギリギリ間に合いましたが、そこで午前の競技は終了。残念ながらスキッドパッドに臨むことはできませんでした。

午後からは態勢を立て直し、オートクロスに挑戦。この日の天候は不安定で路面コンディションも悪い中、1人目のドライバー井上君が好タイムを記録! なんと、オートクロス2位にランクイン。まさに起死回生の一撃でした。

メンテナンスの4日目をはさみ、いよいよ大会は最終日へ。1周約800mのコースを周回し、2人のドライバー合わせて約20kmを走行して耐久性と燃費を争う、花形競技の「エンデュランス」が行われます。
KARTはオートクロス1位のオーストリアの強豪校「UAS Graz」との並走に。午前に車両アライメントをとり、万全の準備をもって予選に臨む。がしかし、ピットに戻った後、シフト用のパーツが故障するなど相次いでトラブル発生。出走まで時間がないため部品の交換を断念し、ギアを3速に固定したまま走ることに。

大丈夫か……。不安な表情で見守るメンバー。
ところがいざ走りだすと、3速に固定された状態にも関わらず、インラップタイム1分2秒414を刻む。このタイムはUAS Grazよりも速い! まるで若き日のシューマッハを彷彿とさせる奇跡の走り!

その後も神過ぎる走りでUAS Grazとデッドヒートを繰り広げる展開に。と、その時、KARTのマシンが突如スローダウン、そして完全にストップ……。どうやら駆動系のトラブルの気配。そのまま14号機は息を吹き返すことなく、無念のリタイヤ。総合24位という結果に終わりました。

これで、KARTのながいながい挑戦は終わりました。
メンバーからは優勝という目標を達成できなかった悔しさがにじみ出ていましたが、全力を尽くしてやりきった達成感も伝わってきました。メンバー自身もそれが実感できからこそ、最後にこんな爽やかな表情で記念撮影ができたのだと思います。

[取材を終えて]

KARTの取材を通じての結果も大切ですが、そこに行き着くまでのプロセスにも大きな意味があることを改めて学びました。そして、好きなことに本気で取り組む素晴しさも実感。メンバーの皆さん、本当にカッコいいです!
次の新歓では、ぜひこの熱い気持ちを伝えて、新メンバーをゲットしてください。