2017.03.08
京都で体験できる神秘の森を探検!
ザッツ編集部のもとに、またまた耳寄りな情報が寄せられてきました。
「実は、漢方の原料になる植物やハーブ類などが植生している「薬用植物園」があるらしいですよ。そこなら、広報Bさんの冷え切った体と心を救ってくれるヒントがあるかもしれません!!!」
冷え切った心ってのはよくわかりませんけども、とにかく「薬用植物園」ってものがあるらしい。
これは、潜入するしかない!
そもそも「薬用植物園」って、どんな植物園?
京都大学の「薬用植物園」は、薬学研究科・薬学部の研究用施設として1968年に設置されました。3,042㎡の面積を有しており、標本園、温室、栽培圃場、樹木園などから構成されています。
園内では、日本薬局方に収載される漢方薬原料植物などの重要薬用植物のほか、海外学術調査などで収集した貴重な薬用植物を栽培・管理し、学生の教育のみならず創薬科学の研究のために増殖・利用を図っています。
1980年代からは、圃場を利用してシソ・エゴマに関する遺伝・育種学、遺伝生化学、系統分類学的研究が行われてきました。これらによって固定・育種された系統のほか、国内外の調査研究で収集された系統もあり、現在ではシソの保有系統数は5,800を超え、国内最大規模のコレクションとなっています。また、中近東、中央アジア、東南アジアなどにおける海外学術調査で収集した、薬用植物のさく葉標本はおよそ5,000点、生薬標本は1,100点あり、研究・教育に活用されています。(※さく葉標本は、移転に伴いすべて京都大学総合博物館に移管しました。園内には、授業で使用する生薬標本のみが残っています。)
ここでご注意!
「薬用植物園」は、一般の方の立ち入りは禁止です。ご了承いただきますようお願いします。
ふつうの植物園とは違う、京大薬学研究科ならではの
「薬用植物園」を案内してもらいました!
今回、園内を案内してくれたのは、伊藤 美千穂 薬学研究科准教授。
生薬に関する研究をして20余年、園内の植物たちの生息状況を知り尽くし、まるで我が子のように日々のメンテナンスをするまさに薬用植物園マスターです。
「薬用植物園マスター」伊藤先生による、園内ツアースタート!
取材時は11月という季節柄、既に枯れてしまっているものも多かったのですが、春になると、さまざまな植物が花を咲かせてとても賑わうそうです。
貴重な研究材料である園内の植物たちを一挙に紹介します!
(植物図鑑なみにいろんな植物を紹介していきます!)
こちらはすべて「ミント」。一番左の「ハッカ」が最もメントールが多く、「生薬の気剤」とされています。4種類、全てニオイが違うのにビックリ!!! 一番右のミントが最もメジャーで、先生曰く「レアチーズケーキにのってるやつ!」とのこと(笑)。
園内の中心に位置するハウス。温室内では、「沈香」や「桂皮」のほか、熱帯性の薬用植物などが植えられています。
今回の案内人、伊藤先生にお話を聞きました
Q.大学の研究施設としての「薬用植物園」の特徴と意義とは?
一般の植物園とこの薬用植物園の違いは、何よりも、研究のための植物園であるということ。
研究対象を、サンプルとしてだけでなく、生きた植物として育てることで、その全容と付き合うことができ、研究に幅ができると思います。
生薬の研究をする際でも、乾燥された生薬を市場で購入して実験に使うのと、同じ植物を植物園で育てて、収穫して、処理して実験に使うのとでは、まったく違います。育てながら、細部を見て、時間の経過とともに変わりゆく姿を観察し、世話をして反応を見る。そうすることでいろいろ考える機会が生まれるので、乾いた生薬しか知らない人とは一味違う発想ができます。そういう場を提供してくれるのが、この薬用植物園だと思います。
Q.先生ご自身はどのように「薬用植物園」を活用されていますか?
私の研究では、研究に利用する植物を園の圃場や温室で育てており、必要に応じて新鮮葉を採取して使ったり、交配実験を行ったり、学生たちの学会発表のための写真をとったり・・・とさまざまに活用していますよ。
番外編というか、広報Bの意外と女子力高い一面をご紹介
カリンのはちみつ漬けをつくってみました!
お土産にいただいたカリンで、はちみつ漬けを作ってみました。かりんは古くから咳止めやのどの痛みに効果があるとされています。また、カリンに含まれるクエン酸は、新陳代謝を活発にして冷え性の原因である血行不良をよくしてくれるそう。これは冷え性の広報Bにはもってこい!
「京都大学の薬用植物園」、いかがでした?たくさんの植物を紹介してみました。
園内の薬用植物の数々は、研究材料として単に利用されるだけではないんです。実際に、植物たちの成育を手がけ、日々の息づかいにていねいに耳を傾けることで見えてくること、気づくことが、新たな研究の糸口へとつながる大きな可能性があります。
日々の努力ですよね、こういう日々の地道な研究を突けられている先生が京大にはたくさんいるんですよね。ザッツ京大ですね。
そんな薬用植物園は、まさに薬学研究のフィールドワークの場。ここから生まれる新たな研究成果が、いつかたくさんの人を救う種になればと思います。
冷え性を解消するヒントももらえ、広報Bも救われました!