No.20

update.2017.03.07

図書館でもない、博物館でもない、文書館って一体どんなとこ?

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どうも、ザッツ・京大編集部です。
京都大学だけではなく、大学には立派な図書館があるとこ多いですよね。
いいですよねぇ図書館。私、結構図書館好きなんです。
さて、今回は、そんな私が好きな図書館の話ではなく、文書館。
知ってます?文書館って。はたして図書館とはどう違うのでしょうか?
京大の歴史を語る上で欠かすことの出来ない重要な施設なんですよ~!

と、いうことで。今回は文書館に突撃してみました!

京都大学の近く、東一条の交差点から南西に細い道路をしばらく進むと、閑静な住宅街の一角に赤レンガ調の建物が見えてきます。それが、京大の歴史を語る上で欠かすことの出来ない重要な施設「大学文書館」です。では、一体何をするところだと思いますか・・・? 図書館でもなければ、博物館でもなくて・・・。

大学文書館って何するところ?

大学文書館は、京都大学の歴史に関する資料を整理・保存し、公開するための施設です。大学の過去と現在を伝える重要な文書を継続的に受け入れつつ、学内外の利用に応えていく重要な役目を担っています。
現在所蔵されている資料数は、なんと約30万点! そう、大学文書館は「京大の歴史そのもの」といっても過言ではないのです!
▼その役割とは、主に以下の三つです。

(1)大学組織の軌跡を示す資料の保存・管理
大学の基本資料は「法人文書」。大学の法人文書のうち、保存期間が満了したものは、大学文書館に移管されます。京大創立以来、それら資料をずっと整理(選別)し、蓄積し続けています。

(2)大学関係者の資料の保存・管理
大学関係者(退職教職員、卒業生など)の所有していた資料や、学内外の個人・団体より寄贈・寄託されたさまざまな資料・物品などを保存しています。中には、歴史的に重要な価値のあるものなども。
その他、京大で作成された刊行物(広報誌、沿革史、入学案内、履修案内等)なども収集します。

(3)「蓄積」→「アウトプット」(公開、展示、授業などの教育、講演など)
そうして蓄積した数々の貴重な資料を、さまざまな形でアウトプットしていくことも大学文書館の役割。具体的には、以下のような方法でアウトプットをしています。
•「公開」(整理の済んだ所蔵資料を、一般利用に供するなど)
•「調査・研究」(京大の歴史や大学アーカイヴズに関する調査・研究、所蔵資料に関する問い合わせ対応など)
•「展示」(歴史展示室における、常設展示や企画展示、テーマ展示など)
•「教育」(研究成果に基づき、京大の歴史などに関する講義・研修など)


歴史展示室

京大の歴史といえば、この先生!

京大の歴史マスターこと西山教授に聞く! 「大学文書館ってこんなところ!」

西山伸 大学文書館教授は、文学部を卒業後、京都大学百年史編集史料室助手として「京都大学百年史」の編纂に携わったことを機に京大の歴史にのめりこんだそうです。そして今では、創立から大学紛争に至る京大の歴史を扱う授業や、職員向け研修での講義、歴史展示室の企画など、京大の歴史の語り部として多方面で活躍されています。
大学文書館で日々膨大かつ様々な資料を扱う、京大の歴史マスターこと西山教授に、大学文書館の意義や思いを聞きました。(やさしそうな先生で、なんでも聞いちゃいました!)


どんな質問にもわかりやすく答えてくれる西山教授。その知識量に圧巻!

Q. 大学文書館の存在意義って何でしょうか?
昔も今も、大学の業務は文書によるものが基本です。
それら大学の重要な「足跡を残し」、単に過去を集めるだけでなく、「"今"を残していくこと」。そのとても大切な役割を、大学文書館は担っています。
大学においては、「今をどう残していくか?」も実はとても大切で、そういった意味で、ここは「生きている」文書館であると言えます。

Q. 具体的に、それらの足跡はどのように役立つのでしょう?
例えば、日々の業務を遂行する時や、大学が何らかの改革を行おうとする時でも、その参考資料となったり、場合によっては説明材料にもなりえます。
現在は主に研究者の利用が多いのですが、教育史、文化史、学術史、社会史、政治史・・・と、幅広い分野の研究の足跡も、ここから探し出すことができます。
過去を紐解くことで見えてくることを、未来へ生かすことも必要。その素材がここにはたくさんあるのです。だから、学内の人にも、もっと大学文書館を活用してほしいですね!
また、大学文書館は一般の方の問合せにも対応しています。「京大を卒業した親族の足跡を知りたい」など、京大にまつわる「探しもの」を求めて来る方もたくさんいるんですよ。
(そんな利用方法もあるんですね!)

Q.一般の方にまつわるエピソードはありますか?

閲覧室は誰でも利用可能
例えば、戦時中、学徒出陣に出てフィリピンで戦死したという京大出身のお兄さんを持つ妹さんが、何らかの情報を知りたいと来訪されたことがありました。
結局その人の在学記録は確認できたものの、亡くなった経緯までは確認出来ませんでした。ですが、このように、足跡を辿るひとつの場としてここを訪れる人はたくさんいます。
また最近ですと、小さい頃に生き別れた父親が亡くなって、手がかりが「京大出身」ということしかわからない女性がいらっしゃいました。その時は卒業写真で父親をみつけられて、長年の心のつかえがとれたと涙して帰られたこともありました。
(すごいエピソード!)
閲覧室では、整理済みの所蔵資料をどなたでも利用できる形になっています
(データベースなどで検索が可能)。

最後に一言お願いします!
こういった一般の人の事例では、大学文書館は、「自分や大切な人の足跡やルーツを知る・・・」という意味など、「アイデンティティをみつける場」でもあり、大学組織においては、「大学のアイデンティティを探る場」でもあると言えます。
つまり、アーカイヴズとは、「アイデンティティと深く関わる場」なんです。
そういった意味で、この大学文書館は京都大学に無くてはならない、重要な施設なんですよ。
そんな京大の歴史貯蔵庫とも言える、このスゴイ施設の中は一体どうなっているのか・・・?
大学の歴史と今がぎゅっと詰まった大学文書館の中を一部ご紹介します。

京大創立以来、117年間の歴史が眠る大学文書館内部に潜入!

地下1階・1階・2階 法人文書庫
大学の法人文書のうち、保存期間が満了した約11,000冊(1年間)の文書が1階の法人文書庫に集まります。
ここで行う「評価選別」が重要な仕事の一つ。選別後、約7割は廃棄され、保存するものは各階の法人文書庫へ。その気の遠くなるような選別作業を、西山先生はじめたった3名で行っているそうです・・・。


(左)1階法人分書庫の、膨大な数の文書ファイル。これを手作業で選別していきます。(中央・右)ピンク色の付箋は廃棄の印。意志決定の記録(会議議事録他)、研究や教育の具体的な有り様がわかる資料、個人の権利関係の資料などは残します。(右)湿度管理・日射遮断などの環境維持も大切。


(左)2階には古い文書が。特に古い重要な文書は中性紙の箱に収納して、酸化を防止。(中央・右)「評議会会議議事録」。なんとも貴重な、京都帝国大学創立当初の文書。


(左)文書の中には、こんなものも!職員が行っていた「総長杯のどじまん大会」の記録!(中央)こんな手作りのチラシまで保存してありました(笑)。(右)同じく2階の書庫には、現在整理中の故西島安則元総長の遺品約11万点が。会議録音テープなども。

1階 貴重資料庫
ここには、大学にまつわるさまざまな資料や個人寄贈のものが保存されています。中には、かなり貴重なものも!

(左)次々と詳しい解説付きでお宝を紹介してくれる歴史マスター。今度は何が出てくるのか、ドキドキ。(中央)貴重な資料が丁寧に整理保存されています。(右)木下広次 初代総長の、京都帝国大学創設計画資料。当初は第三高等学校が京都帝国大学になる予定だった、など、歴史を物語る記述が。


(左)寮関係の資料だけでも、こんなにたくさん!(中央・右)寮生が明治期に発行していた同人誌。中には、鮮やかな絵や、ユニークなイラスト、詩など、当時の学生たちの多彩な個性が光っています。


(左)当時の大学風景が息づく、100年以上前のガラス乾板。(中央)歴代総長などの肖像画がずらり。サイズも構図も自由で、各々ご指名の画家に描いてもらうそう。(右)中でも稀少な、洋画の巨匠藤島武二が描いた折田彦市 三高初代校長の肖像画! 2013年5月に解散した旧制第三高等学校同窓会から寄贈されたもの。力強いまなざしが印象的で、全体から気品と風格が感じられます。

[取材を終えて]

学生、教員、そして職員・・・と、たくさんの人々の足跡の集大成によって今の京都大学は存在しています。そんな一つ一つの足跡が、ここに残され、そして、今この瞬間も、蓄積されていくのです。
そう思うと、「日々の業務を、もっと丁寧にせねば!」と背筋が伸びる思いです・・・。
京大が京大たる由縁、ここに在り。 まさにザッツ京大!