特色入試のこと。実際に、先輩に聞いてみた!

  • ザッツ (82)

こんにちは!
ザッツ・京大編集部です。

夏も終わり、だんだんと大学入試のシーズンが近づいてきます。
受験生のみなさんは、きっと忙しい日々を送っているのではないでしょうか?

ところで京都大学には、「京都大学特色入試」という独自の選抜方式があります。
この試験は、学力はもちろん、学ぶ意欲や志まで総合的に評価するのが特徴で、全学部・全学科で実施しています。

京都大学特色入試

▼「特色入試」についての詳しい情報はコチラ
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/admissions/tokusyoku/

 

と、いうわけで……今回は、実際に特色入試で入学した先輩にお話を聞いてみました!

現在、薬学部3回生の荻堂亮甫さんです。

今回の取材はオンラインで行いました。

高校時代から大学生活のことまで、いろいろとお話してもらったので、受験生のみなさんはもちろん、中高生のみなさんもぜひご一読ください!

自分の「得意」を生かす特色入試。

――荻堂さんは沖縄県の出身なんですよね。そもそも「京都」の大学……京都大学を志望した理由って、なんだったのでしょうか?

「そうですね。僕は『薬学部』に行きたかったのですが、沖縄には薬学部のある大学がないんです。なので、県外での進学は最初から決めていました。
京大を受けようかなと思い始めたときは、あまり深く考えてなくて……最初はなんか『かっこいい』というくらいで(笑)。でも調べてみて、世界的に活躍されている先生方から学べることや、研究設備も整っているということを知りました。将来は研究の道に進みたいと考えていたので、自分にぴったりな環境だと思ったんです

故郷の沖縄にて。同級生の多くも県外に進学したそうです。青い空、グスクの石垣、かりゆし……沖縄です。

――なるほど。でもあえて「特色入試」を受けようと思ったきっかけは何かあるのですか?

「京大の特色入試は、僕が高校生のときに導入されて、当時けっこう話題になっていました。実際に受験することにしたのは、志望していた薬学部の試験が、自分の得意な化学と英語だったことが大きいです。それに同じ高校で仲のよかった先輩が、特色入試で経済学部に合格していたこともあって、自分も受けてみようかなと思いました」

――合格する自信はありました?

「それは……なかったですね(笑)。だから、一般入試も受けるつもりで勉強していました」

――そうなんですね。ちなみに「特色入試」の1次選考では、高校でどんな活動をしたのか、京大でどんなことを学びたいのか、卒業後はどんな道に進みたいのかといったことを書いた「学びの設計書」を提出するんですよね。

「そうです。これは、いろんな先生や先輩に相談しながら書きました」

「学びの設計書」で、入学の「先」がイメージできた。

――「学びの設計書」を書いてみてどうでしたか?

自分のやりたいことがはっきりしたので、書いてよかったですね。たとえば薬学部では3回生で研究室に配属されるんですが、希望すれば2回生でも受け入れてもらえるんです。そういうところまで具体的に計画を立てたことは、大学生活の大きなプラスになりました。
実際に、僕は2回生から研究室に入ったんです。そのときはおかげで忙しくなった感じはあったんですけど。でも今、こういうコロナ禍で思うように実習ができない状況に直面すると、チャンスのあるときに早めに行動しておいて本当によかったと実感します」

――入学の先まで考えておくのは、すごくいいことですよね。それが実際の行動にも関わってくるわけですから。ちなみに、2次選考の論文試験と面接試験はどうでしたか?

「論文試験は、前半が英文の文章を読んで考察するという内容。後半は化学の問題で、これがすごく難しかったんです。解答欄がA4用紙3枚分くらいあったんですが全然書けなくて、『ぜったい落ちた』と思いました(笑)。
面接は楽しかったです。4、5人の先生と向かい合って話すので緊張はしましたが、優しく聞いてくれて。自分のやりたいことをスムーズに話せました」

実習はどんな感じでしているんですか?という編集部の無茶ぶりにも、笑顔で応えてくれました。

高校で知った「化学と薬学のつながり」。

――荻堂さんの高校時代の話も聞かせてください。先ほどのお話だと化学と英語が得意だったということですが。

「そうですね。とくに化学が好きで、ずっと履修していました。高校の先生が教科書に載っていないことも話してくれる人だったんです。
化学って、漠然と勉強してもなんの役に立つのかわかりづらいじゃないですか(笑)」

――確かに、私は元素記号をひたすら記憶しようとした思い出しかなくて……(汗)。

「(笑)。でもその先生は、『化学がどう役に立つか』をちゃんと教えてくれたんです。特に『化学と薬学のつながり』についてよく話してくれました。僕が『薬』に興味を持つようになったのはそこからです。
たとえば『アセチルサリチル酸』といわれてもピンとこないけど、『アスピリン』といえば解熱鎮痛剤だってわかりますよね。いろいろな原子が20〜30個連なったものを飲むだけで熱が下がるということも、不思議でおもしろいと思いました」

――普段は何気なく飲んでいる薬でも、言われてみれば確かに不思議な働きですね。

「それに、薬の開発の歴史についても話してくれて、僕も薬の設計をしてみたいと考えるようになったんです

――「薬の設計」というと?

薬ってただ有効成分を入れればいいというわけではないんです。たとえば腸で吸収させたい成分がある場合には――これは大学で学んだことですが――胃酸では分解されず、腸内細菌に分解されるように工夫する必要があります」

――なるほど、薬の設計には化学の知識が欠かせないんですね。荻堂さんの得意な「化学」と「薬学」がつながりました。高校の先生との出会いが、荻堂さんを薬学部へ導いたんですね。

ノートファイルの表紙には大きな文字で「かがく」。なんだかロックです。

でも中は、なんとも几帳面できれいなんですね。 高校時代にとっていた化学のノートは、今もきちんと整理して保管しているそうです。

メリハリ!  満喫した高1・2とストイックな高3時代。

――ところで、荻堂さんは、高校時代の成績はよかったですか?

「学校の勉強はしっかりするようにしていたのですが、急に伸びたのは2年生のときでしたね。20位以内はキープするようにしていたんですが、僕が通っていた高校からは、東大と京大に毎年1〜2人ずつくらいしか進学していなかったんです。だから京大を目指すなら、学年で1位・2位を取れるようにしないと、と思っていました」

――学年トップを目標にしていたんですね。 勉強以外には、どんなことに力を入れていましたか?

「学校の授業に沖縄伝統空手が取り入れられていて、段位を取ることも推奨されていたので、2段を取りました。同じように英検も推奨されていたので、準1級を取ったり。2年生のとき、ワシントン州立大学の寮に短期留学もしましたね。
あとは小学校5年生のときからギターをしていて、高校ではバンドも組んでいたんです。ライブハウスで演奏したり、イベントを主催したり、学校で学園祭を企画したりもしました」

高校時代の荻堂さん。化学のおもしろさを教えてくれた先生と。

――……勉強以外もめちゃくちゃ行動してますね。学業とのバランスはどのようにとっていたんですか?

「1、2年生のうちに思い切り楽しんで、2年生の終わり頃からはストイックに勉強だけしていました。ギターも、2年生の学園祭を最後に封印して。やりたいことはやり切っていたから、高3になったとき『あと1年は勉強に集中しよう』と切り替えられたんだと思います

――なるほど。勉強に集中するためにしていたことはありますか?

「家では誘惑が多すぎるので、塾の自習室で1日中勉強していましたね。場所を変えることでメリハリをつけていました。家にいるとギター触っちゃったりするので……。合格してすぐにまた弾き始めましたけど(笑)」

――いろんなところでメリハリをつけてたんですね(笑)。では、大学に入ってからはバンド活動を?

「はい、軽音楽部に入ってバンドを結成しました。今は活動できないですが、部室がライブハウスのような造りになっていてステージもあるんです」

――お話をうかがっていて、荻堂さんは自分のやりたいことに真っ直ぐ取り組まれてきたんだなと感じました。熱量があるというか……。
「そうかもしれません。英語もギターも子どもの頃から続けていたのですが、好きなことを続けられるのは自分の強みだと思います。化学の勉強もそのひとつですね」

昨年の夏に行ったライブでの一枚。

目指すはQUEENのブライアン・メイ! 薬学と音楽の両方で活躍する人に。

――実際に京都大学に入ってみて、いかがですか?

「入学する前は、よく言われることですが変な人が多いというイメージでした。でも『変な人』の意味が、僕が思っていたのとは違っていたというか。一見普通なんだけど、誰も知らないようなことに興味をもって突き詰めている人が多い気がします。
あとは、周りの友達がみんな学ぶことに対して真剣。みんな自習室でよく勉強しているので、自分もがんばろうという気になります。研究設備も充実しているので学ぶには最適な環境ですね」

――京大に来たことで、変化したことはありますか?

興味の幅が広がりました。大学って、自分の興味のあることだけを勉強するわけではないじゃないですか。いろんな授業を受けるなかで、それまで知らなかったことのおもしろさに気づいたりする。僕は高校まで生物を選択していなかったのですが、大学で授業を受けてすごく興味を持ち始めました。知れば知るほど、人間の体が動いているということが不思議で。自分の体のことなのに、まだまだわかっていないことだらけというところもおもしろいです

――確かに、大学はいろんな知に出会える場所ですよね。大学卒業後の目標は?

研究者になって、薬の設計に携わりたいと思います。入学当初は、精神疾患の薬をつくりたかったんです。海外のアーティストって薬物で亡くなっている人が多いので、依存症の治療に興味を持つようになって。でも今は、精神疾患だけにこだわらなくてもいいかなと思うようになりました。薬の開発っていくつもの段階を経て行われるんですけど、僕は臨床に近いところで研究をしたいと考えています」

――なるほど。ちなみに音楽活動のほうも続けていくのでしょうか?

「そのつもりです。僕の憧れはQUEENのブライアン・メイなんです。世界的に著名なギタリストであり、作曲家であり、作詞家でもある上に、天体物理学者でもある。僕も彼のように、ギターと学問の両方で活躍できる人になりたいと思っています

最後の無茶ぶり、ということで、白衣でギター演奏をお願いしました。ギターはもちろん、ブライアン・メイ モデル! 今年1月のQUEEN来日ツアーにも駆けつけたそう。(ちなみに、ブライアン・メイ氏はその機会に京都大学の花山天文台を訪れました!→関連記事

――おお! ぜひ薬学と音楽の両方で世界レベルを目指してください! それでは最後に、これから京都大学を目指す人にメッセージをお願いします。

「先ほども言いましたが、興味のないことにも一度は触れてみてほしいです。僕は化学との出会いで『薬っておもしろい』と思うようになったので。まったく知らないことって、興味の持ちようがないじゃないですか。だからまずは、いろいろなことを試してみるのがいいと思います」

荻堂さん、ありがとうございました!

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